第10話 親の恋愛話は黒歴史

騒ぎがあった翌日、PPPがライブをする日が来たが…


ザァアアアアアアア…

前日から雨が降り続いていた


「この様子だとライブは無理そうだな、おまけにプリンセスが…」

コウテイがプリンセスの方を見ると


「……………」

どこか宙を見つめていた

「プリンセスさん大丈夫ですかね、それにイワビーさんも帰ってきませんし…もし雨が止んでライブをやる事になったら…」

ジェーンが心配そうに言う

その中フルルだけは

「じゃぱりまん食べれば元気出るかなー」

いつもと変わらずじゃぱりまんを頬張っていた




同じ頃ロッジでは

カズヤが部屋の窓から外を見ていた


(そ、そうよね…あなたの気持ちを知らないで勝手にこんな事言って…迷惑よね…あはは…私馬鹿みたい…)

昨日プリンセスに言われた事を思い出していた

「……………」

カズヤは何も言わずに外を見続ける


「どうしたんだい?ずっと外なんか見て」

いつのまにか部屋に入って来たオオカミがカズヤに声をかける


「別に何でもないよ、ただ…」

カズヤは顔を曇らせる

「ただ?」


「告白してきた女の子を一人泣かせた…酷い言葉で断ってね」


それを聞いたオオカミは

「……心の底から言ったわけじゃないんだろう?そういう顔をするって事は」


「……怖かったんだ、彼女と僕は違うだから何が起こるか分からない、それに正直僕も好きだとかそういうのがよくわかってないし、それに…いや、何でもない」

カズヤは自分の掌を見ながら言った


「こんな話を知っているかい?」

オオカミが椅子に座りながら言った


「悪いけどホラー系は苦手じゃないから話したって意味ないよ」

カズヤが言葉を返す


「あはは、大丈夫だよ今回は恋愛話さ……」

そう言うとオオカミは少し悲しげな表情をする


「昔ある宿泊施設に作家の女が長居してたんだ、するとある日男の旅人が宿泊施設に訪れたんだ、作家の女はその旅人に興味を持った、作品のネタにするために、だが男は自分の事を話すのを嫌がった…そこで女は男に賭けをしようと言ったんだ負けたら作家を辞めるとまで言ってね」


するとカズヤは

「賭け?」


「トランプってやつだよ、女はなんとかして話を聞きたかったからズル…イカサマをしたんだ、だけど全部お見通し、逆にイカサマをされて負けたんだ、当然話を聞けなかったし作家を辞めなくちゃならなかった、でも男はそんな話は知らない、作家を続けたければ続ければいいそう言ったんだ…そして女は男に惚れた」


「それだけで?」


「理由なんてそんなもんだよ、一目惚れだってあるだろ?まぁ話を続けよう、男が来てから数日後外の国から女がもう一人やってきた、男とその女は長く暮らしていくうちに互いを好きになっていったんだ…だけどその女はちょっと訳ありでね、それでも男は女を愛し護り続けた……作家の女は当然失恋……そんなある日女は聞いたんだ、どうして外から来た、違う存在の自分を護るのかってね…男はこう言ったんだ…」




みずべちほーでは

「なんだよ、プリンセスはまだ落ち込んでんのか?」

戻ってきたイワビーが他のメンバーに聞く

「ああそうなんだ…どっちにしろ雨でライブは出来ないからまだいいが…このまま止まなければいいんだが…」





「よし、みずべちほーに行こう…」

数分後オオカミから話を聞いたカズヤはロッジから出ようとしていた



雨は止み、少しずつ陽が差し込んで来た



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