第9話 告白は振られるつもりで行け

「プリンセスから話があるから後で楽屋に来て欲しいって言われたから来たけど、なんだろ」

カズヤは楽屋に来ていた


数分待った後


ガチャ

扉を開けプリンセスが入ってきた

「……誰もいないわよね?」

プリンセスは周りを見渡す

「居ないよ、で話って何?」

カズヤが単刀直入に言った

するとプリンセスは


「あの…その…うぅ…」

顔を赤く染めながらカズヤの方を見た

「カ…カズヤ!」




その頃

「プリンセスは大丈夫だろうか…」

ライブ会場から離れた場所でコウテイ達は待機していた

「きっと大丈夫ですよ、カズヤさん優しいですし」

ジェーンが心配するコウテイに声をかける

「そんなに心配だったら見てくりゃいいじゃねえか」

三人が話し合ってる間いつもと変わらない様子のメンバーが

「じゃぱりまんおいしいねー」

フルルがじゃぱりまんを食べながら言った

「でももしダメだったら…私が余計な事を言ったばっかりに…」

コウテイが立ちながら気絶した


「はぁ…しょうがねえなあ、俺が様子を見てくるぜ」

イワビーはライブ会場に向かった


カズヤとプリンセスは


「私と付き合ってください!」

プリンセスがカズヤに向かって言った


「……断る」

カズヤはキッパリと言った


「え?」

それを聞いたプリンセスは固まってしまった


「だから断るって言ってんの、僕はあんたとそういう関係になるつもりは無い、それにハッキリ言うけど迷惑なんだよそういうのは」


するとプリンセスは


「そ、そうよね…あなたの気持ちを知らないで勝手にこんな事言って…迷惑よね…あはは…私馬鹿みたい…」

そう言いながら大急ぎで楽屋を出て行った


カズヤは無言でプリンセスが出て行った方向を見ていた


一方その頃、イワビーはライブ会場近くまで来た

「何が『恥ずかしいからみんなはどっか行ってて!』だよ……ってプリンセスじゃねえか、おーい!」

向かってくるプリンセスにイワビーは声をかけるが

「おーいプリンセ……ス…?」

プリンセスは涙を流しながらイワビーに気づかない様子で横を走り去って行った


「プリンセス…まさか…」


イワビーはライブ会場に向かって走り出した

空には雲がかかり始めていた


カズヤは

「そろそろ雨が降りそう…降り出す前にロッジに着かなきゃ」

そう言って楽屋を出た


楽屋を出たカズヤはステージの上から一人もいない観客席を見下ろした、すると突然


ボカァァァンッ!

イワビーがカズヤを殴り飛ばした

ダァァァンッ!

カズヤはステージの壁にぶつかる

「イテテ…何するのさいきなり」

カズヤは頰を抑えながら立ち上がる


イワビーは

「お前…プリンセスに何したんだよッ!」

大声を出した


「別に何もしてないよ、ただ迷惑だと言っただけだよ」


「……そうかよ……お前がそんなやつだとは思わなかったぜ!プリンセスがどんな思いでお前に!……もういい、俺と勝負しろ、俺が勝ったらプリンセスに謝れよ!」



「……別にいいさ、ただしあの時の僕とは違う、手加減しねえぜ?俺は」


ポツ…ポツ…


雨が降り出した



「どうしたんだプリンセス!」

結局心配になり他のメンバーが来てしまった

「ううん…なんでもないの…ただちょっとね…あら?イワビーは?」

プリンセスはイワビーがいないことに気づく

「イワビーなら様子を見てくるって言ってたが…見てないのか?」


「見てないわ…もしかして気づかなかっただけなのかも、もしそうだとしたら!」

プリンセスはライブ会場に向かって走り出した

「プリンセス!」


(もしもあの時、イワビーが見てたら…もしかしたら)

あっという間にライブ会場に着いたプリンセスはステージの上の二つの人影に気づいた


「イワビー!イワビー!」

しかしプリンセスが目にしたのは


「悪りぃ…プリンセス、下手打っちまった…あはは」

壁にもたれかかったイワビーと荷物をまとめこちらに向かってくるカズヤが居た

「カズヤ…」


カズヤはそのままプリンセスの横を通り過ぎて行った


通り過ぎた後少し立ち止まり

「知ったこっちゃないんだよ、アンタらの事なんか」

そう言い残しライブ会場を出て行った




続く

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