第16話
「はい、次!」
ようやく僕らの番だ。心臓が跳ねとんできそうなくらい、高鳴っている。
「この、まーるいツルッとしたボールに触ってください!」
占い師が持ってそうな、水晶玉のようなものが置かれている。半透明で、暗い紫色だ。中には、蚯蚓が走ったような文字が螺旋状に回転している。
「はい。」
僕は、そっと触れた。蚯蚓のような文字は一気に加速し、急停止した。
「はい!読み取り完了です!ちょっと待っててくださいね〜♪」
そう言って係の人は小走りで、奥へと消えていった。
「読み取りってさ、どうやってんの?」
僕は、気になって聞いた。どうやってデータを取得しているのだろう。
「私が教えてあげるわ。人は魔力を少なからず誰でも持ってるのよ。その魔力には、今までのこと、つまり、個々のデータが記録されてるの。ついでに言っておくと、データが豊富であればあるほど、高い魔力になるのよ。だから、強くなりたいんだったら、経験を積むことね。」
理解が追いついてきた頃、係の人が戻ってきた。
「お待たせしました!こちらです!」
いよいよご対面だ。........いや、めるのも同時にみんなで見よう。一人だけ見られるのは自分でも分からないが、嫌だ。
「あのさ、めるのも出来てからにしよ?」
「私は全然いいよ!」
他のみんなも賛成らしい。個々でOKサインを出している。
「じゃ、めるもお願いします。」
「分かりました!では、触れてください!」
めるは目を輝かせながらふわっと手を置いた。
「くるくるしてる!早くみたいな〜」
相変わらず読めない。誰がこんな読みにくい文字作ったんだ?
「はい!完了です!あとはこちらで刷ってきますね!ちょっとお待ちを!」
さっき一緒にしてもらえばよかったか。待つのはあまり好きじゃない。
「私強いかな?ワクワクが止まらないよ!」
「僕よりはいいんじゃない?めっちゃジャンプしてたし。」
軽く雑談をしていると、係の人が戻ってきた。
「出来ました!あっ、先に冒険者として登録しておきますか?」
先にしておいて、こんな混んで、蒸し暑いところから出てからステ確認しほうが楽か。
「はい。お願いします。」
「承知しました!では、この針で、指をプチッとしてこのギルドカードに血液を垂らしてくださいね。一滴でいいですよ。」
針か........痛くないといい。魔法もあるし、血はすぐ止まるか。
「分かりました。」
僕とめるは親指に針を刺した。全く痛くなかった。
「この紋章の上に垂らしてくださいね。」
狙いを定めて、一滴垂らした。すると、刺したところが何事も無かったかのように、元に戻った。さすが異世界だ。
「ねぇ!これでもう冒険者になれたの?悪者やっつけられる?」
「はい!じゃんじゃん倒して、魔物たちを駆除してくださいね!........あっ!大事な事忘れてました!」
なんか抜けてる人だなあ。
「魔物の駆除頭数、ギルドへの貢献度等でなんと!冒険者のランクが上がります!下から順番に、銅、銀、金、プラチナ、ワールドとなっていますよ。ワールドは世界で数人しかいないので、目指すなら覚悟しておいた方がいいですよ!」
異世界らしい。だが、ワールドってなんだ?色も何も関係なくなっている。世界並みにすごいということでいいのか。
「分かりました。上を目指して精進したいと思います。」
「私、頑張る!」
「では、よい冒険者ライフを〜」
僕らはステの紙を受け取ると、出口へ向かった。見るのがとても楽しみだ。
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