第15話

「おっ、ここだぜ!」


そこには、立派な石造りのでかい建物が建っていた。遠くで見るのとだいぶ違うな。


「おぉ〜凄いね!私、早く入りたい!」

「ボクが来た時と随分変わってるんだなぁ〜」


めるの考えが変わるのが早すぎる。さっきまで買い物したいって言っていたはずだ。


「お前ら、突っ立ってないで入ろうぜ!」


入口付近でうろちょろしてたら邪魔になる。さっさと入ろう。


「める、サラ、入ろう。」


シムは待ってましたとばかりに、ギルドのドアを開けた。


「うぉ〜」


僕は興奮していた。ほんとにこんなだとは思っていなかった。


「色んな人がいるんだねぇ〜」

「ボクが来た時にはいなかった種族もいるなぁ。あれ?あの人って........」


サラには気になることでもあるのだろうか。


「サラ、どうしたの?」

「いや、ボクが知ってる人がいてさ。でも、人間だからそんなに長生きするわけないし。」


気になる。


「あっ、サテラじゃん!お久〜」

「え!?」


僕は思わず声を漏らしてしまった。


「なに?私のことが好きになっちゃったの?ふふっ。」


若い。明らかに僕より若い。見た目は14歳くらいだが、妙な貫禄がある。


「あっ、六花だぁ〜。でも、なんであの時と変わらない姿なの〜?」

「私、ついにやったのよ。不老不死の術を編み出したの!」


周りにいるほとんどの目線がこちらに集まった。会話も止まる。........このままじゃヤバい。


「あはっ、そんなこと言わない方がいいよ〜。本当だと思われたらどうするのさ?」


六花の口を塞ぎながら、大声で言った。見た目は幼女だ、こんな喋りでいいだろ。


「んんんん〜」


六花がジタバタし、僕の腕から逃げる。


「いきなり何よ!歳上にむかって、何すんの!」

「だって、みんな不思議がってたよ?あのままじゃ絶対危なかったって。ねぇサラ?」


とりあえず、旧知の仲であろうサラさんに丸投げした。


「そうだね〜。ボクも、ダメだと思うな〜。だってそれさ、違法だったでしょ?」


不老不死になるのは違法なのか?あれが真に受けられていたら、本当に危なかった。僕たち全員牢獄行きだろう。そばにいただけだが。


「そんなこと関係ないわ〜。それより、サテラさ、変わった?」

「気づいた?ずっとあの場所にいて、退屈だったから、六花がいた世界の本読んでたんだ〜。そこにね、優しい方がモテるって書いてあったからさ〜」


僕らは二人の話に置いてかれた。とりあえず、昔からの知り合いなのは分かった。


「あの、僕たちどうすれば?」

「六花、自己紹介してあげてよ!」

「分かったわ。」


六花は咳払いをすると、腰に手を当て、胸を張った。


「世界が認める天才美少女、茅木六花かやぎりっかよ!生まれは日本!そして、12歳でこの世界に来たわ!理由は........言わないわ!見た感じあなたも日本の人?」


バラしてもいいのだろうか。悪い人ではなさそうだが........


「うん。僕は亮太、日本人だよ。」

「私は、める!一応日本人かな?」


めるは日本製だから、日本人でいいか。


「俺はどうすればいいんだ?全く話がわかんねぇんだが。とりあえず自己紹介しとくか!」


自分の頭を掻き、大きく息を吐いた。


「俺は、シム。冒険者やってんだ。よろしくな!」


シムは手を前に出した。握手を求めているのだろう。


「私、あなたタイプじゃないわ。でもよろしくね〜」


その一言はいるのだろうか。いや、言っておいた方が、変な希望は持たなくていいのか?


「おっおう。よろしくな!」


だいぶ長話をしてしまったな。時間が気になり、僕は時計を探す。........あれか。幸運なことに、この世界の時間は、六十進法らしく、地球の時計と同じようなつくりだ。


「もう、こんな時間じゃん。早く受付しないと。」

「わかった!私並んでおくね!」


めるは、ギルドメンバー受付と書かれたカウンターに連なる、長蛇の列に並んだ。


「僕も行こっかな。サラたちはここで待ってるの?」

「ボクは、見守り人として着いてこうかな〜」

「俺も行くぜ!」

「私もそうするわ。あなた達のステータスがどれくらいなのか見たいもの。」


登録する時にステータスが分かるらしい。ちょうど良かった。

僕らは、仲良く全員で長蛇の列に並んだ。あの女に見られた時は、ダメとか言われたがそんなことないと願いたい。

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