第14話
サラは軽く伸びをしてから、僕らの方を向いた。
「ふぁ〜やっと解放されたぁ〜」
さっきのサラからは考えられないほど、かぁいい。
「ねぇ!早くお買い物しよ!まず、ご飯べて........」
めるは一人で自分がしたいことを話している。まずは冒険者ギルドに行かないとだからな。
「める、先に冒険者ギルド行かないと。観光とか、お買い物はその後ね。」
「えぇ〜!でも、めんどくさいことは、最初に終わらせておいた方がいいね!」
「だね!」
行くのはいいが、どこにあるのだろう。肝心のギルドの場所がわからない。
「サラ、どこにギルドってあるの?目印とかある?」
「前来た時はね、周りの建物よりぐーんとおっきかったから、すぐ見つかると思うよ!」
僕らは辺りを見回す。........あった。明らかに存在感を放っている建物がドスンと建っている。
「あれであってる?まぁ、あれくらいしかでっかいのないけど。」
「うん!見た目が前来た時と随分変わってるけど、場所も一緒だし、あってるよ!」
「でっかいのに行くの?私、楽しみ!」
めるはワクワクが抑えきれず、その場で飛び跳ねる。傍から見れば、子どもに見えるかもしれない。もう、成人はしてる。よな?
「じゃ、目指して歩こう。早めに行って、ぱぱっと終わらせて楽しもう!」
「うん!」
石畳の上を歩く。僕らか歩いているところは大通りなのか、見渡す限り、たくさんの屋台が出ている。僕らの格好が珍しいのか、ちょくちょく声をかけられた。
「めんどくさいなぁ。買いたいのがあれば、こっちから行くのに。」
そんな愚痴を零しながら、僕らは歩く。
「ちょ、待てよ!」
そんな中いきなり腕を掴まれた。また何かトラブルでも起きるのか。
「はい?」
「お前ら、この世界のやつじゃないだろ?分かんない事があったら、俺に聞いてくれよ!」
ただの良い奴だった。いや、聞いたりした分だけ、あとからお金を取られるやつか。
「生憎、僕達は、お金をあまり持ってなくて。また今度の機会があれば、よろしくお願いします。」
これで引いてくれるか?
「金なんか取らねぇさ。まぁ礼は欲しいがな。」
彼はそう言うと、頭を掻きながら微笑む。
「ホントですか?ちょっと相談させてください。」
僕らは彼から距離をとり、話す。
「どう思う?なんか怪しくない?」
「そんなことないと思うな!人の好意を踏みにじるほうがよくないと思う!」
「私、あの人悪い人に見えない!色々聞きたいことあるし、お願いしたいな!」
「じゃあ、頼むってことでいい?」
「うん!」
「おっけー!」
彼の方を向くと、彼はニコッと微笑み、近づいてきた。
「どうだ?」
彼の目は輝いていた。断る理由も見つけられなかったし、みんなで決めたことだ。変えるつもりはない。
「お願いできますか?」
「はい、喜んでーーーーーーーーーッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
顎が急に伸びたりしないか心配だ。
「俺は、シム。一応冒険者なんだ。堅苦しくしなくてもいいぜ。」
僕らも軽く自己紹介した方がいいか。
「僕は、亮太。この格好から分かると思うけど、この世界の人じゃないよ。」
「私は、めるだよ!りょうの彼女なの!」
「ボクはサテラっていうんだ!種族は、ドラゴン!」
めちゃくちゃだ。相変わらず、人とのコミュニケーションが下手だ。ドラゴンなのをばらしても大丈夫なのだろうか。
「そいつがドラゴン?ちっこいのが?」
シムはめるの肩に乗っているさらに近づき、抱き上げると、わしゃわしゃし始めた。
「こんな可愛いドラゴンもいるんだな!」
「一応この姿は、仮だからね!本当の姿は、ここじゃ騒ぎになっちゃうと思うから、また今度ね!」
なんか仲良くなれそうな雰囲気だ。前の世界では、人とあまり話せなかったが、この世界ではマシになっている。これも、補正がかかってるのか?........このままだと、日が暮れてしまうか。
「僕達は、ギルドに行きたいんだけどさ、道案内してくれる?」
「当たり前だ!俺の専門分野だぜ!」
彼はそう言うと、俺についてこいオーラをビンビンに発している背中をこちらに向け、歩き出した。
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