第11話
出てすぐ見えたのは空高く聳え立つ山、山、山。僕らが生きていた地球がどれだけちっぽけなものなのかよく分かった。
「ねぇサラ、この世界が山だけなわけないよね?」
「うん!あと1時間くらい飛んだら、平地が見えてくるよ!
他にも、海とか、火山とか、砂漠とか色々あるよ!」
なるほど。氷の世界もあるのだろうか。楽しみだ。
「ねぇ!これからどこ行くの?」
「僕は栄えてる街に行って、とりあえず、冒険者ギルドの手続きを済ませて、あとはまぁ色々と。」
「ボクもそれがいいと思うな!この世界の常識を知っといた方がいいしね!ギルドの人は色々知ってるんだよ!」
じゃ、ギルドの人に色々と聞こう。他にも召喚された人とかも知りたいし。
「じゃぁこの辺で一番栄えてる【ザルポネア】ってとこに行こっか!」
「私着いたら、お買い物したい!今までネットでしか買ったことないから!」
「先に手続き済ませてからね。その後お金があったら、買おうか。」
「もっとスピード上げるよ!」
今まで見ていた景色が一気にカラフルな棒になる。風が顔に吹きつけ、さっきまでの心地いい風が、暴風のように強く、荒々しい風に変わった。
「スピード上げすぎじゃない?........ねぇ!」
「ひゃあ〜!すっごく楽しいね!ジェットコースターみたい!」
風が強くてサラの耳には届いていないらしい。僕が日頃声をあまり出さず、小さな声になっていたのもあるだろう。
「いつまで続くんだよ。このジェットコースター。」
暴風のような風を受け続け、やっとのことで【ザルポネア】に着いた。冬だったら凍死していたかもしれない。そもそも四季がないのかもしれないが。
「着いたよ!でも、このまま入ってったら、王宮魔導師達に撃ち落とされちゃうから、あの開けた場所で降りよ!」
サラは体のわりに小さな腕を突き出しながら、草木が生い茂る中、十円ハゲみたいな場所を見据え、滑降していった。
「きゃぁ〜!ジェットコースター楽しいね!」
「いつからジェットコースターに変わってんの?確かに内蔵がキュンってしたけどさ。」
ボサッ。雑草のおかげでそこまで大きな音も出ることなく、地面に足をつけられたみたいだ。ここで大きな音が鳴っていたら、誰かに見られていたかもしれない。いや、飛んでるところを見られたか?それだったらまずい。
「サラ、飛んでるところ見られたりとかしてないよね?バレたら、ヤバそうなんだけど。」
「大丈夫だよ!隠蔽魔法をボク達にかけてたからね!前に見つかって攻撃されたことがあったからさ〜」
同じ失敗は二度としないらしい。そこに痺れる憧れる。
そんなことを考えてるうちに、サラはトカゲモードになった。相変わらずかぁいい。
「サラ、おいで!肩んとこ!」
めるは肩に乗って欲しいらしい。たまには僕の肩に乗ってくれたっていいとは思うが。今回はめるに譲ろう。
「じゃ、ザルポネア目指してあるこっか。」
「私魔物来たらやっつける!」
スライムに打撃が効かなく、ストレスが少々溜まっていたらしい。思う存分攻撃していい。魔物には。
僕達はザルポネアに向けて足を進めた。これから何が起きるんだろうという期待感と、何が起こるかわからない不安感でいっぱいいっぱいだった。
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