第9話

さぁ戦いだ。......................スライム動くの遅すぎだ。これだと、あと1時間コースじゃないか?


「スライムってこんなに遅いの?」

「うん!でも、強いスライムは素早いよ!」


ステータスが魔物にもあるのか。ドラゴンにもあるんだしあたりまえか。この世界の生き物には全てあると考えてよさそうだ。


「める、こっちから行こ?」

「分かった!囲まれたら、りょうの後ろ守るからね!」


僕らは駆け出した。ふと疑問に思った。こんなに足速かったか?........僕が感動している間にもう、スライムの大群にめるはつっこんでた。陸上選手よりも速いだろう。って後ろ守ってくれるんじゃなかったのか?


「無理すんなよ〜いくら弱いからって、油断してたら足をすくわれるよ?」

「大丈夫だよ!ほらね!」


めるは打撃で倒そうとしてる。


「とりゃ〜オラオラオラオラオラ!」


オラオラッシュだ。スライムが弾け飛びそうなくらいぷるぷるしている。スライムは体内の黄色っぽい液体をめるにかけた。


「なにこれ!?ぬるぬるするぅ気持ち悪いよぉ〜」


言わんこっちゃない。死にはしないらしいからいいか。でも、物理的な攻撃は効かないのか........


「める!なんか使える魔法とかないの?範囲攻撃的なやつ!」

「探してみるね!えぇっと........ない!というより、分かんない!」


あぁ........先にステータスなどを確認しておいた方が良かったか?


「じゃ、こっち見てみるわ。」


少し考えてみる。すると目の前に半透明の表示が出てきた。攻撃魔法らしきものを探した。【ホーリーライト】【ファイアウォール】【シャイニングレイン】名前的に攻撃らしきものはこのへんか。【ファイアウォール】は名前からして範囲攻撃だと思う。サラに聞いてみるか。


「サラ!ファイアウォールってどんな感じのやつ?」

「火の柱が、横にぶわぁってなるやつ!中級の魔法だよ!」


魔法に級があるのか。最上級の魔法はどのようなものなんだろうか。そもそもあるのか怪しいが。とりあえず使ってみるか。


「める!危ないかもだから、そこから離れて!」

「分かった!とりゃぁ!」


めるはとんでもない跳躍を見せた。僕にも出来るのか?機会があれば試してみよう。


「よし、やるぞ。........どうやって使うの?」

「私はね、うぬぬぬぬってしたら使えたよ!」


念じればいいのか。念じるんだ亮太。ほら、ほら。何かが出そうな感覚が全身を走る。


「ファイアウォール!」


つい叫んでしまった。アニメの見すぎかもしれない。今後控えよう。


「わぁ!すごく熱いよ!」


僕が叫んだのと同時に、紅く、熱い火柱がスライムたちを襲った。ここまで熱いとなると、人が死ぬ可能性がある。


「やった........のか?」


これは前から言ってみたいと思っていた。フラグはホントにあるのか知りたかった。


「もう居ないよ!なんか残ってる!........石みたいなやつ!」


僕のラノベ知識を引っ張り出す。魔石か?


「サラ、こっち来て!」

「なに〜?」


サラはふわふわと小さな羽根で飛んでくる。かぁいい。


「ねぇねぇ!これなに?」

「これは魔石だよ!冒険者ギルドに行って、換金出来るけど、スライムは安すぎるかな〜」


魔石だってよ。やったな、僕。


「とりあえず回収しよっか。誰か入れるの持ってない?」

「ボク収納魔法使えるからいいよ!持っとくね。」


サラが近づいた瞬間すぅっとどっかへ消えた。僕らにも使えるのだろうか。


「収納魔法って、簡単に使えるものなの?」

「魔法ってのはね、人によって得意不得意があって、不得意なものほど、しっかり学ばないと使えないんだよ。キミたちは召喚されたから、ある程度の魔法は使えるだろうけどね〜」


召喚されし者のボーナス的なやつがあるみたいだ。なんか得した気分だ。


「私もかっこいい魔法使いたい!ふよふよライトいや!」

「攻撃魔法らしいのなんかないの?」

「グラビィトンってのがあるよ!」


名前からして重力を操るやつだ。


「他になんかあ........」

「使ってみる!」


oh......僕が言葉を終わらせる前に使ってしまった。


「グラビィトンはね、一定範囲内の空間の重力を3倍にする初級魔法だよ!」


解説してないで助けてくれよ。体が重くて支えられない。ぐぬぬ。


「た、たすけて。」

「分かった!」


やっと解けた。体がとても軽く感じる。


「かけるなら、あのふよふよボールにしてよ。」

「ダンジョンの核のこと?あんまいじんないほうがいいと思うんだけどな〜」

「だってさ。める........める?」


めるはもう手の届かない距離へ走っていた。あっという間に核のところへ着いた。かけるなよ。


「める!あんまりそれいじんないほうがいい........」

「せいやぁ〜さっきより増し増しだぁ!」


さっきより力を込めて使ってるらしい。見た目からしてさっきより強い気がする。浮遊している核が降りてきた。危険な香りがする。


「める!核が降りてきてるから、やめて!」

「分かった!」


めるがやめた瞬間すぐにふよふよ状態に戻った。


「ふぅ、なんともなくてよかっ........」


パリッ。そんな音が聞こえた。気のせいにしておこう。


パリパリパリッ。気のせいじゃなかった。核にヒビが入ってる。危ない気がする。


「サラ、これってやばい状況?」

「うん!ダンジョンは核が無くなると、だんだん崩れてくから、早く出ないとだね!今回の核は、生まれたてほやほやだったから壊れやすかったんだよ!」


めるのやつめ。ここで死んだらどうする。


「はやくここから出ないと!」

「うん!」

「そうだね!」


サラはめるの肩に乗った。僕らは全速力で走る。僕達はスライムの亡骸(水)を後目にし、もと来た道へ向かった。

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