第8話
僕達は相変わらず泥で歩きにくい洞窟の中にいる。早く出たい。
「分かれ道からだいぶ歩いたけど、まだなの?」
「ボクの記憶が正しければ、そろっと開けた場所に出るんだけどな〜」
もう少しで狭いとこから抜け出せるみたいだ。嬉しい。
「ねぇ!ここになんか出っ張ってるのあるよ?近道じゃない?ほら、押したら扉とか開くやつ!!」
絶対にない。100%いや、99.9%罠だ。押すなよ、絶対に押すなよ。これはフリじゃない。
「ボクが前通った時はそんな出っ張りなかったよ!魔物がしたのかな?」
こんなとこにそんな知能を持ってる魔物いないと思うが。用心するに越したことはないか。
「ねぇ!なんも言わないなら押すよ!」
あぁ。押してしまった。魔物の大群に殺されるんだ。........
扉が開いた。出っ張りの反対側にある壁に明らかにおかしいだろって感じの扉があった。さっきまで無かったのにどうやって隠してたんだ?
「サラ、ものとか隠せる魔法ってあったりする?」
「あるよ!でも、そこに魔法陣が書いてあるから魔物だね。ここら辺に魔法が使える魔物いたっけな?」
なるほど。魔法を即席で使えるのは高い知能を持った生き物だけなのか。魔物とかは、脳で処理できないから魔法陣ですると。意味わからない。
「入ろ!じめじめからだっしゅつだぁ!」
めるはサラを降ろすと、とっとと入っていってしまった。罠とかあったらどうするんだ?それに、いきなり襲われるかもしれない。
「サラ、後を追おう!」
「うん!」
サラは小さな羽根で僕の肩に乗ってくる。かぁいい。僕達が入る頃には、めるの姿はどっかに消えてしまっていた。迷子になるかもだな、あいつ。
「なんかあったよ!ボールみたいななんかがふよふよ、くるくるしてる!」
めるの声だ。どこからだ?えーと。........こっちかな。ジグザグに走った結果、めるのいるとこに着いた。意外と一本道なのかここ。
「なんだここ?」
大きなドーム型の空間だ。その真ん中には黒く、禍々しい球体が台座の上で浮遊している。
「なるほど!そういうことね!」
「ん?どういうこと?」
「長年放置された洞窟とかって、ダンジョン化するんだよ。ダンジョンってのは、核があって、それを中心に罠、扉、部屋とか魔物などが生成されてくんだよ。」
なるほど。なんかの小説で読んだことあるやつだ。ラノベサマサマだ。
「ダンジョンなの!?私、もっと石畳で、でっかい松明が所々においてあって、ザコ敵、中ボス、ダンジョンの主みたいな感じだと思ってたのに。あっ、あと裏ボスとかあと.........」
話が長すぎるな。そんなにゲームみたいになってないと思う。とんだ偏見だ。
「りょうた、なんか来るよ。沢山の小さな魔力を感じる。戦いになるかもだから準備しといてね。」
いきなりすぎる。戦いだ?僕達はこの世界に来たばかりだ。洞窟を出てから魔法の確認、ステータスの確認とかをするつもりだったのだ。........まぁしょうがないか。
「ボクは手伝わないから、君たちでやってね!でも、ピンチになったら助けるよ!」
そうかそうか。まず個人の素の実力を見ると。さすがドラゴン。人間の育成には慣れてるのだろう。
「める、とりあえず僕達だけだから、後ろ頼んだよ。」
「うん!分かったよ!」
僕らが入ってきた入り口は粘着質な生物。スライム?で埋め尽くされようとしていた。
「あれはスライムだね!たまに酸性の液体をかけてくるけど、レモンくらいだから大丈夫だよ!あとはのろのろ向かってくるだけ!」
雑魚でよかった。なんでも吸収するスライムとか、魔王のスライムとかじゃなくて良かった。
「そろそろ来るよ。める、準備おけ?」
「うん!すーぱーぱーふぇくとにバッチリだよ!」
心の準備は出来ている。何が出来るかはわからないが、まぁ大丈夫だろう。そして、この世界に来て初めての戦闘が始まった。
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