第7話

暗い洞窟の中を僕達は歩いている。下は泥でぬちゃぬちゃしていて、ゴツゴツした石の壁には苔が所々生えている。頼りなのはめるの灯りだけだ。そういえば、ドラ先生は灯りとして使える魔法ってあるのだろうか?ついでに名前も聞いておこう。


「ねぇねぇ、ドラ先生はなんか明るくする魔法とか使えないの?あっついでに名前教えて。」


なんのついでなんだ。自分でツッコミたくなるくらいおかしいと思う。


「ボクの名前はサテラだよー!」


そう言いながらドラ先生改め、サテラ......サラが魔法を使った。やっぱり詠唱とかないんだなぁ。古代魔法はあるらしいけどな。後で教わりたい。


「すごい!私の光よりすっっっんごく明るいよ!おつき様みたいだぁ〜」


半径30mは照らせてるだろうか。目測で分かるわけないか。まぁさすがドラゴン。だが、そもそもこの世界の基準分からないからなんとも言えないか。やっぱり目指す所は街がいいか。そこで色々な一般的な事を学ぼう。サラは最近のこと知らないみたいだしな。


「サラのおかげで明るくなったし、さ、さ、行こう」

「サラって誰?ボクのこと?あぁ!そういう事ね!容易すぎない?」

「私はいいと思うな!ちっちゃい姿によく似合ってる!」


めるはまた抱き抱え、なでなでしながら言ってる。


「じゃ、今度こそ出発しよ!目指すは街!」

「おー!!!」


出発するまでにどんだけかかってるんだ僕達。もし敵とかいたら死んでたかもしれない。


めるがサラを抱え、僕がそのあとをついていくような感じで歩いた。背中がガラ空きなのはすごい嫌な気分だ。


「りょう〜なんか分かれ道あるよぉ〜」


しばらく歩いたところで分かれ道を見つけた。しかも6本。確かここは昔敵から攻められた時に、撒くために使われたんだったか。ここはサラの出番だ。


「ここは一回目の分かれ道でしょ?だから、ここだね!」


そう言ってトカゲみたいな小さな足をド真ん中の道へ向けた。本当にそこ出会ってるんだよな?


「分かった。聞きたいことあるんだけどさ、もし違ったらなんかあるの?罠とか。」

「あるよ、罠あるよォ!でも、前見た時いくつかの道は、魔物の巣窟になってたよ!」


サラが一瞬おかしくなった。まぁ関係ない。魔物の巣窟か........。戦いとか起きたりするのか?しっかり心の準備をしといた方がいいな。小3から中1までやってた総合空手が通用したらいいが、魔法も使いたい。一応使えない時の場合に聞いとくか。


「サラ〜その魔物って素手で倒せるもんなの?」

「大丈夫だよ!ここにいる魔物はステータス普通の人より低いからねー」


めるは私にも倒せる!と思ったみたいで、ネットで習得したのか知らないが、サラを片方の腕に抱え、空気に攻撃してる。凄い動きだ。速すぎて何をしてるのか見えない........


「私やる!倒す!」


鼻息を荒くしてふんふんしてる。かぁいいな。


「じゃ行こう!無限の彼方へさぁ行くぞ〜!」


テンションが上がって自分でも何言ってるかよくわからない。前からそういう性格だ。異世界に来たからって変わるもんでもない。


「しゅっぱーつ」

「しんこー!」

めるとサラは息ぴったしだ。なんが通ずるものがあるんだろう。


僕達は歩を進めた。街を目指して進め!我が軍よ!的な感じのノリだ。下には泥、上には蝙蝠、壁には........なんもいないが、苔が生えている。狭い所はあんまり好きではないが、とにかく歩を進めた。

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