第6話

「まず、ボク達が住む世界の名前はね、ヴシュヘルクって言うんだよ。それでね、この世界は........」


........体感で1時間は経っただろうか。確認のために、僕は大事だと思ったことをまとめてみた。


「じゃ、こういうこと?この世界、ヴシュヘルクでは、体力、筋力などが数値化されていて、自分にしか見えないプロフィみたいになってる。それプラス、神の加護、言い換えればアビリティがついてると。あとなんだっけ?」


「んーとね。ヴシュヘルクには、人族、魔族、精霊族が住んでて、ヴシュヘルクを3等分にして仲良く暮らしてるんだよね、あと、異世界から来た人は、ヴシュヘルクに元からいる人よりも、ステータスが成長しやすい。そして、一人ひとりに合った魔法が使える。とかなはず!」


僕達なりにまとめたが、合ってるのか?


「おぉーすごいよ君たち!ボクの説明が分かりやすかったんだなぁ~」


とんでもなく分かりにくかった。急にあの時食べたの美味しかったとか、思い出話入れて来られた時は、ツッコミそうになってしまった。


「でもさ、それすっごい昔の情報でしょ?アテになるの?」

「なるよ!たぶん........だって、ステータス開けるでしょ?あっそうだ!見てみなよ自分のステータス!」

「僕達のやつはドラは見れないの?」


確かあの女は見れてた筈だ。ステータスがどうのこうの言ってた。


「出来なくはないけど、疲れるからやだ。それに、古代魔法は詠唱しないとだから。ボク覚えてないしー!」


あの女普通のやつじゃないのか?まぁ、召喚できる時点で普通じゃないのか。


「異世界から召喚とかできるの?」

「んーそれは各族の王族にしか伝わってないからねー。あっ、でも魔物とかそういうのならできるよ!」


そうなのか。といことは、あの女は王族か。よくあるパティーンだ。どうせ、「私、認めてほしい!そして王子様と結婚したいの!」みたいな感じでやったんだ。きっと。


「この世界はさ?魔王とかいないの?精霊王とか」

「いるよ!あのね、すっごく強いんだよ!ぼかぁ、しゅがぁ、ばしゅんっ。って瞬殺されちゃうよ」

「えぇすごぉい!私も強くなったらばしゅばしゅできるのかな?」


できなきゃ嫌だ。せっかくの異世界だ。どの世界にも悪はいるはずだ。ラノベファンにはたまらない展開だし、戦わない選択肢はない。


「どうしたら強くなれるの?チートとかあるの?」

「チート........あぁずるのことね!」

........合ってるけど、異世界でのチートといえば、巨大魔法だとか、ステータス~倍とか。直ぐに俺TUEEEE的ななんかがあって欲しい。楽したい。


「ないよ!努力しなきゃ強くなんかなれっこないよ!確かに、アビリティで補正は効くけど、最終的には、自分がしてきたことが大切だからね!」


なるほど。よっぽどのことがない限り、いきなり俺TUEEEEはないということか。凄い燃えてきた。新入部員でずっとウサギ跳びさせられてた時くらい燃えてる。


「私、頑張る~!」


めるはぱんちしたり、きっくしたりしている。幼稚っぽくてかぁいい。彼女補正かかってるんだろうが。


「とりあえず、ここでないとでしょ?こんなとこで修行したくないし。」

「私も賛成~!明るいとこ出たいよぉ〜」

「分かった!君たちを案内してあげる!ここはボクの第2のおうちみたいなもんだから!」


よかった。迷わずに済む。ドラゴンさまさまだ。........そういえば、名前聞いてなかった。後で聞くことにしよう。うん、そうしよう。


僕達は出口をめざし、頼もしいガイドのもと歩き始めた。

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