第15話 放課後

―――キーンコーンカーンコーン

ホームルームが終わり、放課後を告げるチャイムが鳴った。

「中也、一緒に帰ろうぜ。」

ほぼチャイムが鳴り終わると同時に、勇吾が一緒に帰ろうと誘ってきた。

「あぁ…すまん、今日は図書委員会の当番で遅くなるから無理だ。」

俺は今日、図書委員会の当番で学校の図書の管理をしなければいけない。

「そうか。じゃあ先、帰ってるぜ。」

「分かった。じゃあな。」

「おう、じゃあな。」

勇吾はそれだけ言って帰った。

―――ガラララ

俺は教室を出て図書室に向かう途中、ある疑問を抱いた。

(俺が盗聴されているのは解ったけど、何で盗聴なんかされなければいけないんだ?

しかも、相手が身内であることも間違いないんだよなぁー。

心当たりがないのだけど…)

しばらくの間考えたが結局、その答えは出ないまま図書室に着いた。

―――ガラララ カシャッ

図書室の扉を開けると、後ろからカメラのシャッター音が聞こえた。

俺はすぐに後ろに振り返った。

振り返るとそこには

カメラを持ったがキョトンとした表情で立っていた。

その後、彼女は我に返ったのか急に笑顔になった。

「あっ、流石にバレましたかー。」

「うん、流石にシャッター音ありだと気付くよ…さくらちゃん。」

俺はそう言って彼女のカメラを取り上げた。

彼女は特に抵抗せず、素直にカメラを渡した。

俺は彼女のカメラの写真を確認しながら俺の写っている写真を消していた。

俺が写真を消している間、

彼女はいたずらっ子のような笑顔を浮かべて理由を話し始めた。

「いやー、中也先輩って後ろを取りやすいからしていたんですよ。」

「俺を尾行の練習台にしないで!」

俺は一通り写真を消し終えると彼女にカメラを返した。

彼女は残念そうにカメラを受け取ると図書室に入って行った。

俺も彼女に続いて図書室に入った。

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