第13話 学校
俺は昨日とは少し早く学校に着き、昨日と変わりなく授業を受けた。
そして、昼休み―――
俺は急ぎ足で階段を上っていた。階段の先には一つの扉が見える。
(ふぅ……なかなか二階から屋上まで行くのしんどいな。)
行き先は階段を上がった先の扉の先……屋上だ。
この学校は四階建てで俺がいるクラスは階段から一番遠い所の二階にあり
屋上まで行くのが一苦労なのである。
何故、俺が屋上に向かっているのかというと……
俺は昨日の失敗を活かし、彼女とは最初から屋上で落ち合う事に決めたのだ。
(急に連絡したけど…いるかな?)
俺は少し不安になりながらも屋上につづく扉を開けた。
ガチャ ギギギィィィィ―――
錆びついた扉が物凄い音と共に開くと……そこには誰もいない。
(早く来過ぎたか?)
俺はそう思い、慌ててスマホ確認しながら戻ろうとすると。
「
と後ろから声をかけられた。
その声はどこまでも冷たくとげとげしくて昨日と同じような声、
でも昨日とは少し違っていた。
何故だか知らないが何かにすがるような悲しい声だった。
俺は恐る恐る後ろに振り返った。
振り返った先には、
いつもの表情とは全く違う、
その表情はまるで人形のように凍り付いていて目には光が無い。
だけど、手は力なく震えていて今にも凍えてしまいそうな感じだ。
俺は硬直してしまった。
「何処に…行くのですか?」
彼女は俺をもう一度問いただした。
俺は我に返り、応えた。
「ごめん……ぱっと見たときにいないように見えたから、早く来過ぎたのかなって思って探しに行こうとしていたんだよ。」
「そう…だったんですね!ごめんなさい…私ったら早とちりして…」
彼女は俺の言い分を聞くと慌てて俯き、謝った。
「いや、こちらこそごめん、俺がよく見てなかった…。」
「本当に…ごめんなさい。」
彼女はひたすら俺に謝った。
俺はこの暗い空気を換えるために話題を変えた。
「昼御飯食べようか。次の水曜日の話もしたいし」
「はい…そう…ですね。」
彼女がそう言うと、俺はすぐ近くの壁に寄りかかるようにして座った。
彼女も俺の隣に座り、無言で俺にお弁当を渡した。
「ありがとう…」
その暗い空気にお弁当を受け取った俺はそれくらいしか言えなかった。
「いただきます…」
俺は貰ったお弁当を食べ始める。
彼女もお弁当を食べていたが終始無言で俯いていた、
彼女の表情は見えなかったが多分、落ち込んでいるのだろう。
「ごちそうさまでした。」
彼女を横目で観察しながらも俺はお弁当を食べ終わった。
彼女のお弁当は昨日よりおいしかった。
俺は青く澄み渡った空を見上げていた。
(それにしても暗い!暗すぎる!
俺が
などと空を見つめて考えていたのだった。
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