第6話 昼休みにて
俺と
余談だが、俺の成績は至って平凡で、
真ん中より少し上か下かくらいで、
さらに、いつも勇吾の近くにいるから目立たない。
去年なんて、クラスメイトに名前すら覚えてもらえず、
担任の教師ですら、俺の名前がすぐに出てこない程だ。
だが、これは自分からしていることで、
俺はこの学校では一切目立ちたくないのだ。
「この問題わかる人?」と聞いても俺はもちろん手を挙げない。
だが、当てられたら何事もないようにサラサラ解ける。
成績もいつも狙って真ん中を取っている。
現にこの時間も教師の話を聞きながら黒板を映している。
そして、
キーンコーンカーンコーン……
4時間目の終了のチャイムが鳴り、俺は今日も何事もなく昼休みを迎えた。
昼休みになってからまだ、
1分も経ってないのにクラスはうるさくなっていた。
だが、俺は特に席を立たずにスマホを鞄から取り出し、電源を入れる。
俺のスマホは少し古い型なので電源が入るまで時間がかかる、
と言っても数秒だが。
電源が入るまでの数秒間、俺は窓の外をボーっと見つめていた。
その時、さっきのうるささから急に静かになり、教室がざわつき始めた。
俺は何事かと思い、耳をすました。
「おい、学校1の天才、
「マジか!お前も来いよ。」
という、男子生徒の声が聞こえた。
俺はその声を聞いた瞬間、急いでスマホをポケットに入れ、ドアの方に急ぐ。
(まずい、このままだと嫌な予感がする。)
俺の嫌な予感は的中した。
「えっと、
何やら、二つの包みを持った
「
あるクラスメイトが
「えっと……
彼女は顔を赤くして恥じらいながら笑顔で答えた。その瞬間……
シーン……
本当にこんな擬音が付くんじゃないかと思うぐらい、一瞬で周りが静まり返った。
そして、その後……
「ええぇぇぇぇ――――――――」
その場にいた全員がほぼ同時に叫んだと思う、
それぐらい大きな声だった。
(間に合わなかったか……)
その後は、まぁ地獄みたいだ。
「学校1の天才が、あの影の薄い
「噓でしょ?あの、いてもいなくても変わらない
と俺のあだ名らしいことを言っている女子などでうるさかった。
「
俺は何とか彼女の前に行き、尋ねた。
「あの…約束しましたよね、一緒にお昼ご飯食べませんか?って、
なので来ちゃいました。」
彼女は笑顔で応えた。
俺はため息交じりに言った。
「……取り敢えず、屋上に行きましょう。そこで食べませんか?」
彼女は、嬉しそうに言った。
「そうですね、早く行きましょう。」
そして、俺と
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