第10話
「ロサ、貴方は魔眼持ちですね。」
確信を持って私は言いました。
「そうだ。俺は魔眼持ちだ。」
魔眼持ちは国に保護されるくらい希少です。
でも、ここにいるということは。魔女に林檎にされているという事は、彼には何かあるのでしょう。
「そうですか。なら、貴方は国に保護される事を望みますか?」
「絶対に嫌だ!やめてくれ、突き出さないでくれ!!」
縋るように腕を掴まれました。その手は、震えています。私は、ゆっくりと口を開きました。
「そう。なら、今みたいに魔眼持ちを示唆する様なことを言うのは駄目です。隠し通す気があるなら、絶対に他者に魔眼持ちという事を洩らしてはいけません。」
「いいのか?」
「いいも何も、貴方を預かると決めた時点で、ある程度何かあるって事は覚悟はしていましたし。」
さすがに魔眼持ちは想定外でしたが。
「そう、か…」
一気に緊張が解けたからか、彼は空気が抜けるようにその場に崩れ落ちました。
「ずっと黙ってるつもりはなかったんだ…」
しばらくして、彼はそう切り出しました。
魔眼持ちを国に差し出した者にも、大金や望むものが与えられます。それを目当てに、魔眼持ちの子供を攫う人もいるようです。
「鬼婆の事も、お前の事も、そんな奴だとは思ってない。でも…今のままの関係で、いたくて。」
魔眼持ちと知られて、私達との穏やかな関係が崩れるのが怖かった…?
「そんな事心配してたんですか。」
思わず、笑ってしまいました。なんだか、可愛く思えて。
「言ったでしょう?貴方を預かると決めた時、ある程度の面倒事は覚悟していました、と。だから、頼って下さい。私達が、できる限り貴方の力になりましょう。」
ロサは目を見開き、やがてその目から大粒の涙が零れました。
「あ、りがと…」
泣く彼をそっと抱きしめました。
すすり泣く声が、静かに部屋に響きました。
拝啓 3番目の姉様へ
私はこれから、彼のために何が出来るでしょうか。
おまじないの女の子 もなか @huwahuwa_yuttari
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