第9話

さて、あらかた片付きました。

ロサは、可燃ごみと不燃ごみを一緒の袋に入れる以外は、思った以上に働いてくれました。嬉しい誤算です。


「廃墟からお化け屋敷ぐらいには進化した…か?」


「どっちも変わりありませんよ。でも、朝よりいいですね。ありがとうございます。」


お礼を言ったら、彼は呆けたような顔をしました。


「なんですか?私だってお礼くらい言いますよ。」


「いや…別に…」


彼は、何かごにょごにょ言いながら、ゴミ袋を片付けに行きました。どうしたのでしょうか?お腹すいたんですかね?


摩訶不思議boyロサ君のことはおいといて、

壊れた家を直しましょう。


家の四方にお母様から頂いた札を貼ります。

すると、一瞬にして廃墟・お化け屋敷と罵られた部屋は、真っ白な美しい部屋へと生まれ変わりました。そして、これは仕上げに。

壁に額を付けて…


『お前は古き良き盾。四方を閉じ荒れ狂う嵐から我を守たまえ…』


家全体にふわりと守りのおまじないをかけました。気休め程度でも、ないよりマシです。


「うっわ!?なんだこりゃ!!」


背中にでロサの驚愕に満ちた声がぶち当たりました。


「母様の魔法です。」


「いや、そりゃ見ればわかるっつの!

俺が言ってるのは、家を包んでる方だよ!」


包んでる…?見えているの!?


「貴方、見えてるのですか…」


私の声に、彼はピタッと動きをとめました。


「ロサ、貴方は魔眼持ちですね。」


魔眼。人間で魔法やおまじないの類が見えるもの。かなり希少だったはずです。


こわばった顔のロサに、私は確信しました。


拝啓 3番目の姉様へ


家全体は疲れました。でも、我ながら上手にできた気がします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る