第1話 10年後のぼく。④


今日もいつも通りの朝。

スーツに袖を通し、ネクタイを締め外を出た。


空は雲一つなく、冴え渡った青空が広がっている。

就活中に毎朝必ず寄るところがある。

家の近くのカフェだ。


そこで顔見知りになった可愛い店員さんと小話をするのが小さな幸せだ。

笑顔で渡されたココアを受け取って、ぼくは面接会場に向かった。



しばらく歩いていると異変に気付いた。

ぼくの方に向かって人が流れてきていた、それもすごいスピードで。


皆が引き返す辺りに目を向けるとそこには…人造人間がいた。


その光景を見た瞬間、あの忌々しい記憶が鮮明に蘇り身体が硬直した。

人造人間はこちらを見た途端走り出してきた。



『ぼくを狙ってる』



心臓の鼓動は急激に高鳴り、呼吸もままならない。


硬直した身体は動いてくれない。



ぼくだけを見据えて向かってきた人造人間は、10年前に見た光景と同じように剣を振りかざしてきたーーー



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