4 髪型の話

 おはよう。今朝は霧が濃いね。ああ、君の部屋からは見えないか。いまもすごいよ、外は。異世界みたいだ。どう? 君もちょっと見てみる? いやいや、外には行かないさ。窓からね。そこのカーテンを開けるだけだしね。そう、うん、じゃあまた今度。


 あまり顔色が冴えないね。天気は良いほうが好き? はは、誰だって晴れてるほうが気分はいいか。あまり意味のない質問だったかな……。うん? ほら、会話ってまず天気から入るでしょう。手紙でも始まりは時候の挨拶だし。うん、君と僕は会話をしているのだからね。ええ……そんな顔する? 言わなくても君の顔に書いてあるよ、「会話下手すぎか」って。そんなことない? どうかなあ。


 会話のきっかけと言えば……あとはそうだな、髪型の話とかかな? え、僕? これは寝癖じゃないから! こういうヘアスタイルです。今日みたいに湿度の高い日は大変なんだよ、本当に。君はサラサラヘアだからわからないかもしれないけど。自分じゃわからない? うん、君はきっとロングも似合ってたと思うよ。もし切ってしまったのならもったいなかったね。

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