3 好みの話

 おはよう。今日で三日めだ。うん、だいぶ表情が生き生きしてきたね。僕も嬉しいよ。……え、僕の顔じっと見てどうしたんだい。何かついてる? 目の下? うーん……? ああ! クマかなもしかして。うん、実は恥ずかしい話寝不足で……君はちゃんと眠れている? そう、それはよかった。


 そうそう、今日は約束のコーヒーを用意したよ。ほら、初日に言ったじゃないか。次はコーヒーを淹れておくって。昨日はできなかったからね。どうぞ、お口に合うと嬉しいな。……僕のと色が違う? 君のはブラックなんだけど、何か入れる? ミルクとシュガー。うん、待って……はい、どうぞ。コーヒーは好き? わからない? いや、いいんだ、とりあえず飲んでみようか。真っ黒い液体を飲もうとした最初の人はすごいよねぇ。知らなかったら勇気が必要だよ、これ。はは、苦そうだね。無理せずミルクとシュガー入れるといいよ。僕も甘すぎるほうが好きなんだ。君もそうみたいだし、いやいや僕たち同胞だ。……少しは気を許してくれたかな? まだ難しい?


 え、僕のクマの理由? それはあともう少し、もう何回か過ごしたら教えよう。きっと。

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