第46話
『うん? なんとか元気になったよ。心配させたみたいで悪かったな。もう大丈夫、万事OKだ』
「そう、良かったわね。カラオケでは暑がっていたように見えたから風邪引いて熱でも出したのかと思っていたわ」
ストレッチを終えた西東さんは、シュンキの方へ駆けていき合流を果たした。近くで聞いていた実花さんは頭に疑問符を浮かべて俺に尋ねる。
「武くん、昨日熱あったの?」
西東さん…説明が面倒な事項を残して逃げないでよ。事件は現場で起きてるんだよ。解決するのは俺なんだから…と遠い目で彼女の後ろ姿を見る。そのあと何が起きたのかは口が裂けても言えないよ。
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おそらくシュンキチームと俺たちのチームとでは、差がありすぎて肩慣らしで終わると思う。実花さんも安原さんの先輩ということもあって、あまり出番がない後衛に配置していたが、それでもこぼれ球を容赦なく叩き込んでいた。
西東さん、これには思わず顔が強張る。おいおい、そんな顔見せるなんてせっかくの美人が台無しだぞ。ポニーが動くたびになびく様と首筋に垂れる汗がなんとも…
……ドクン
「武くん、ボール来てるよ!」
後衛から声が届き、ボールを見据える。振り上げるタイミングが遅れて、右横にボールが跳ねる。間に合わな…
「…やあぁっ!」
軽やかなステップを刻んで、相手コートに打ち返す。危ない危ない…並大抵の人と組んでたら、ここでパーフェクトゲームを崩されていたところだった。
西東さんのすぐ横を弾み、シュンキに目掛けて飛んでいく。士気を上げるように大声を出し気合を入れて打ち返す。だがそれは無情なことにネットに絡まってしまいアウトになってしまった。…ふ、まぁ肩慣らしには…なったかな?
「ち、ちくしょオォおォ! また負けちまったあぁぁっ! ごめんよ西東さあぁあん!!!」
「…はぁ、はぁっ、新井先輩強いわね。手も足も出なかったわ…っ」
「ふたりとも、ナイスファイトだったよ! 相手してくれてありがとねー!」
シュンキたちとの戦いは一方的に点数を獲得して、見事パーフェクトゲームを迎えて勝利を収めた。まぁ、実花さんがいてくれたから、はじめから勝利は確信していたんだけど、俺のせいで負けることが少なからずあったからね。
次はテルチームとの一騎打ちだ。
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