第30話

タオルの泡を手の平に継承させて、撫で回すように触っていく。背中なのに、女の子の柔らかさが手を通して感じられる。



「ふふっ、くすぐったいよ!」


『お客様…他に洗って欲しいところはありますかー?』


「それなら、おしりかなー?」


『い、いやそれはちょっと…』




言葉では否定するも、実花さんから「おしり」 という単語が聞けた珍しさから、目線を下に向けて、目標物を見てしまう。椅子に食い込む尻肉の事を考えると、ついつい反応してしまい、臨戦態勢に入ってしまう。そんな状態でおしりなんて触ったら、耐えられないよ…。




「んじゃあ、私が武くんの背中洗うよっ」


『お、お手柔らかにお願いします…!』





それから、なんのかんの言いながら、洗いっこを充分に堪能して、浴槽に浸かる。





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実花さんを、後ろから包み込むように抱き締める。この事を[あすなろ抱き]って言うんだっけ? 抱き締め方総合1位を、毎年獲得し続けているだけあって、両性ともに安心感が得られるらしい。だがその間、ミカチャンにはタケシクンが入ってしまうため、避妊具は念のため装備してある。夢の中で、まなとさんが言っていた“心核の破壊をしてはいけない”という言葉を、念頭に置き、イチャイチャを開始させる。





『…はぁ、実花さんの胸、好きです。形も良いし、柔らかくってハリがあって、とても興奮します』





「ふふっ、自慢の胸だもん。たまにマッサージして血の巡りを良くしてきたから、こんなになったんだよ」






実花さんは、180度回転し、向かい合うような形で再度タケシクンを挿入した。風呂のお湯と同等以上のあったかさが半身を包む。動きたい衝動に駆られるが、ココは我慢だ。まなとさんに詳しいことを聞かない限りは、理性を押さえつけてでも、射出を阻止しなければならない。見つめ合う2人は、距離をさらに寄せ唇と唇を触れ合う。数秒も経たないまま、一方が舌の挿入を開始させる。






…!? 臭ッ!? 寝起きの口臭ヤバくね? 舌に伝わる味が臭すぎて、ディープキス無理なんだけど。昨日は、雰囲気で流されて永遠とやってたけど、それでも本音は実花さんの酒が、若干臭くて抵抗あったんだよな。今日に至っては、歯磨いてないまま寝起きでキスしてるから、すんげえ臭えんだよな……。実花さんは、夢中で舌を絡ませてくるけど、経験者は気にしないのかな。俺は無理だな。寝起きのキスは金輪際やめたいほど、だから。キスはやめよう! 寝起きのキスは悪! この思考は、10秒足らずで行われたものであるため、即座に実行することができた。





実花さんを引き剥がし、キスを中断させる。受け入れていた舌を、受け入れ中止にされたことで、実花さんは目を丸くして驚いていたが、流石にこれは…ね。






「…えっ、どうしたの? やめちゃうの?」






今まで受け入れられたものが、拒否されたことで心に穴が空いてしまったように、心が切なくなったのか、実花さんの目から、涙がこぼれ落ちる。昨日の就寝前にも、涙を流していた。理由は分からないけど、昔の交際していた時に何かあったのかな。





「……もしかして、私とのキス…ダメだったのかな…?」






…当たらずとも遠からず。寝起きの口臭が臭いからキスは悪! と言い放つとしても、傷つけてしまうかもしれないので、伏せておく。





『そ、そんなことないですよー! それより…コッチの方をお願いしたいですっ!』





今の状況を変えるにはコレしかない、と踏んで風呂から上がり、浴槽の縁に座る。目の前で揚々と隆起したタケシクンと、間近で対面することになり、実花さんが安心したようにブツを手に取る。避妊具を外して、剣先にチュッと唇を当てる。雫と一緒に先行液がほとばしり、なんとも言い難い快感が駆け抜ける。






それから、風呂でのひと時を出掛けるギリギリの時間まで楽しんだのであった。

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