第22話

攻防戦の前に、何かを言いたそうにしていたのは、それを伝えるためだったのか、理性を抑えきれなかったことを心の中で反省しておこう。でもだって、こんなに可愛い彼女が自分を求めてきたら、誰だってそんな風に制御できるわけないじゃないですか。





『ははは、ごめんなさい実花さん…つい夢中になって扉開く音に気付かないまま、しちゃってました…!』





「もう、全く武くんったら…こんな私だって酔ってるからと言って、他人に濃厚なちゅーを見られるのは、恥ずかしいんだからねっ!」





コツンと頭を叩かれたが、心地良さを感じるものだったので、とても癒しになった。むしろもっとして欲しいまである。





いいから部屋に入ろうよ、と再び手を繋ぎ、魅惑付きの一室に足を踏み入れるのだった。







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映画やドラマで見るような、ピンク色一色な風景とは異なり、質素な民宿を思い出させる。目を引く大きなベッドの枕元には、怪しげなスイッチと半身に装着するであろう避妊具が標準装備されていた。






「ふふ、武くん…こうゆうところ来るの、初めて…だよね?」





……バレていた。まぁ、それもそのはず、ラブホ男子会というものが巷で開催しているらしいが、そんなものはイケイケニイチャン達が、行うパーティーなので、一介のウブな俺が、こんなところにわざわざ足を運ぶ理由が見当たらないのである。






『…え、えぇ…初めて、です…よ?』



「ふふ、実は私もハジメテ…なんだよ?」






実花さんはポフっとベッドに腰掛け、 両手を伸ばす。抱き締めて欲しそうな気がしたので、ムードある照明を設定してから、隣に座ってギュッと抱き締める。サラリとしたコットン素材のブラウスに包まれた実花杯が、ほどよく吸収されて半身を刺激させる。





『てっきり実花さんは、何回も来たことあるんだと思ってました』


「やめてよー、いくら私が年上だからって、そんなことないよー」




さらに強く抱き締め返され、俺より小さい女の子が、俺の腕の中でスッポリと収まる。シャンプーの香りが持続していて、髪を撫でながらスンスンと香りを楽しむ。




「武くん、私の髪…いいにおい?」



『は…! はい、とってもイイですっ!』




「そっかー、スンスン…武くんも良い香りだねっ」





シャワー室の備えてあるシャンプーは、備品とはいえ男女それぞれでこだわりの物を提供しているんだとかで、香りの違いが楽しめる。女性はバニラ系の食べたくなるような香りで、男性はジャスミンのような落ちつく香りらしい。






あぁ、永遠にこうしていたい…と思うが、半身の欲望も解き放ちたいので、抱き締める力を弱めて、身体に隙間を作り、実花杯に手を掛け…






「ふふふ、武くんってば焦っちゃって…そんなに私の胸が良いの…? 赤ちゃんみたいに吸いたいのかな…?」






ちょっと待ってね、とホックを外し重力に逆らっていた実花杯が、形を保てなくなりぷるんと剥き出しになる。ブラウスを脱がせれば、「待たせたな!」 と出迎えてくれること間違いなしなのだが、柔らかいブラウス越しに堪能するのも、なかなか魅力的だと思うんですよね。






そう答えを行き巡らせ、テニスボールをプヨプヨする感覚で、実花杯に手を伸ばす。

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