第8話
出迎えてくれたのは、安原さんと背丈は変わらないくらいの妹?さんかな。親御さんは買い物にでも行っているのかな。
『初めまして、こんにちは。こちらの妹さんは中学生くらいかな?』
ふっと安原さんを見ると、声を出して笑い始めた。なんだ、なんだと思い、妹さんを見やる。
「ふふふ、りんに負けない美貌をもってして中学生に間違えられるとは、お母さんもまだまだイケるわね~」
え!? お母さん…? とてもそんな風に見えないのだが、むしろ中学生に見える安原さんの方が老けて見…ごめん、何でもない。
「成本くんは、アタシの家来るの初めてだからちょっと驚かしてみたかったんだよね~」
「ふふふっ、私も実は高校生の時に同じことをやられたんだよ。私の時は期間長くて、まどかさんの事をしばらくは妹だと思って接してたんだからー」
「だって実花先輩、疑わないんだもーん」
「俺もやられたけど、ちょうどその時コロッケ作ってたみたいで匂いですぐに勘付いたぜ」
中学生の女の子(下手したら小学生)がコロッケ作るなんて滅多に聞かない話だから、すぐバレちゃったんだろうね。
「あの時は初めて男の子を連れてきたもんだから、お母さんもビックリしちゃったわ~」
どうやらこの安原親子は、初めて来た娘の友達に「妹、実は母さんドッキリ」を決行していたらしい。昔の話も聞いてみたが、見破れた人はテル以外には居ないという。そりゃ、見た目と格好が幼かったら信じてやまないって。
「初めまして、成本武くんだったかしら。母のまどかです。娘のりんと仲良くしてくれてありがとう。これからも、友好関係を続けてくれたら嬉しいなと思…」
「ちょっとマ…お母さん! みんな見てる前でやめてよっ!」
慌てて母にこれ以上言わせまいと、静止する安原さん。今ママって言い掛けてたね? みんなが居ないときにママって呼んじゃう系女子か。悪くないね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます