第7話
勢いを殺さずに倍化しつつ、元来た道を引き返させるように送り込むと、意外にも実花さんのパワフルショットが炸裂する。
ウェアがふわりと扇がれ、スポーツブラが見えそで見えない絶妙な感じになるのを見逃さなかった。一見地味なスポーツブラでも、見えたら見えたでEROIのは、どこの世界でも同じことだ。
「あの成本ショットを返すとはやりますね実花先輩っ! だけど私は負けませんよっ!」
良い音を響かせ、撃ち返す。それだけの繰り返しなのに、この瞬間が楽しいと感じるのは、俺だけじゃないはずだ。みんなの笑顔が輝いて、より一層試合のボルテージは上がる。
「あっ、しまった…!」
テルのミスショットによりヘナヘナ~と自陣手前に落ちた。ここでテルミカペアを落とすしかなかろうと、凛々しく強張った実花さんの顔を見ながら、秘められた技を使って屠ることにしよう。
『疾風に駆け抜く馬達よ、我に尽くし至らせ!
テルの右後方に隕石が落ちたような(実際にはポスっと)衝撃が走り、コートにはピシリと亀裂が入る。これ以上は試合が続行不能になった(脳内にて)
「ふっ、これでやっと同点だな」
テルの一言により妄想が中断され、現実に戻された。まだまだ勝負は始まったばかりだ。
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この戦いには力の差はほぼほぼ無く、五分五分の戦いを繰り広げていたが、テルミカペアが力任せに怒涛の攻撃を繰り広げ、なかなか思うように動けなかったこともあり、敗北してしまった。精神面に身体面も、とても充実した試合だったので、皆にジュースを奢りコートを後にする。
ウチの大学は、滝から直接汲み上げた綺麗な水を循環させている。サークル棟にはシャワールームがあり、そこから出る水は肌に潤いを与えてくれる。
激闘の末にかいた汗は、案の定ベタベタでとてもじゃないが、見目麗しゅう実花さんの隣を堂々と歩けない為、シャワーを浴びている。マイナスイオンがお湯でも感じられて心と身体に浸透していくようでとても気持ちが良い。男女に分かれているとはいえ、今実花さんは、ハダカンボなんだよなぁと気持ちの悪い事を考えながら、ワシャワシャ頭を洗っていくことにする。
シャワー室から上がると、テルの姿はなく急いで出ると、どうやらみんなを待たせてしまっていたようだった。
『ごめんごめん、お待たせしました』
「もうっ遅いよ成本くん。それで肝心の勉強の場所なんだけど、アタシの家で良いかな?」
既に安原さんは親御さんに話をつけてあるらしく、他に行く場所もないので、好意に甘えてお家にお邪魔することにした。
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