第5話
「じゃあ、勉強場所は後ほど考えるとして、良い汗かきにいきましょうよ!」
とりあえず思考を放棄して、身体を動かしたい欲が爆発する安原さんの意見に同意し、食堂を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
試験前だからか、テニスコートに着くとさすがに人っ子1人おらず閑散としており、直ぐにでも遊べそうだった。
「まだ、女性陣はお着替えしてるから2人でラリーしてようぜ」
『おうよ、試験前に誰もいないコートでラリー出来るなんて夢のようだぜ』
穴あきグローブという厨二病アイテム(テニス公式グッズ)を身につけ、ギュンギュンに心を締め付けられる赤黒のカッコいいラケットを握りしめる。女性陣には不評だったが、テルや他のテニサー男子には好評なので、これを使い続けている。
「おらぁ!いくぞ」
ボールを空に上げ、勢い良く振り下ろす。それが始まりの合図だ。パコンとクリティカルヒットし、自陣のライトサービスゾーンにボールが落ちる。
……フッ、甘いな。
あくまでもラリーの為、極力続けないといけないのだが、相手の点をもぎ取ることに全力を注ぐのが、テルとの長きに渡ったお約束なのだ、と心の中で誰向けに説明されたか分からん言い訳をしておき、全力で振り下ろす。
ボールは意図しない方向に回転が加わり、テルのど真ん中サービスゾーンに落ちる。ボールが空を舞い、慌てた様子で手に掛ける。
…チッ、今のを撃ち返すとは中々やるようだな
肩慣らしのはずだったラリーは白熱し、いつの間にか本気のバトルを繰り広げていた。
「あららーまた、やってるー」
「男子ってホント、おバカですよねー」
着替え終わった女性陣が、我らの様子を見て呆れた様に口を揃える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます