第105話 暴走
突然、私の腕の中で、ジョナマリアさんが光りだす。
それは大源泉の光。
私が振り向けば、あたり一面に、その光が満ちている。
「大源泉が決壊してしまった……」そんなカルファルファさんの呟きがやけに大きく聞こえる。
先の争いで亀裂が入ってしまった大源泉から溢れだした光。辺りを満たしたその光が、何故かジョナマリアさんへと流れ込んできているようだ。
不可視の力で、私はジョナマリアさんから弾き飛ばされてしまう。コロコロと転がって行く私。
ふわりと浮かび上がる、ジョナマリアさん。
その表情は、ぼおっとしたもので、視線の焦点が合っていない。
転がる最中、私のポケットから、スマホが飛び出してしまう。何故かスマホにも集まりはじめる大源泉の光。くるくると回りながらスマホもゆっくりと浮かび上がる。
ようやく止まった体を起こし、私は目の前の空中で回転するスマホに手を伸ばす。
ピリピリと手のひらを刺激してくる光。
「っ!」一度は反射的に手を引っ込めるも、私は強引にスマホをつかみとる。
ビリっとした感覚。
しかし、私の手に戻るスマホ。しかしスマホはぶるぶると振動を続けている。
その時だった。ジョナマリアさんに集まっていた大源泉の光が一つの大きな塊となったかと思うと、一気に広がる。光によって形作られる魔法陣。それはかつて源泉に宝珠を捧げた時に見たものと酷似している。そして魔法陣から溢れた光がスマホを包み込む。
「あれは! 暴走した源泉の光がパスを持つ宝珠献上者へ勝手に流入しているの? でもスキルの魔法陣とは形が……?」カルファルファさんの驚きと困惑の声。
私は相変わらず振動を続けるスマホを押さえ込むのに必死で、そんなカルファルファさんの声を聞いている余裕もない。
ようやく落ち着きを見せるスマホの振動。
ほっとして覗き込むと、画面にシステムメッセージが表示されている。
メッセージを開く。
そこには、『アプリのアップグレードが完了しました』と書かれていた。
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