第100話 二度目のユニット限定プレミアムガチャ
目の前の床に、巨大な魔法陣が現れる。
その魔法陣から、ゆっくりとガチャマシーンが浮き上がってくる。かつて焔の民の少女を排出したのと同じ、ガチャマシーン。
そのプラチナに輝く筐体も変わらぬ光を放ち。その中で回転するカプセルも、一つ一つが七色に輝き、全てがアルティメットランクであることをまざまざと見せつけている。
白銀の筐体の浮上が止まる。二階建ての家ぐらいの大きさのガチャマシーンは、天井ギリギリ。やや先端が食い込んでいるが無事に透過しているようだ。
ガチャマシーン越しに、初めて驚愕に見開かれたフロンタークの顔が見える。当然、これが何かも知っているのだろう。しかし、当然ガチャを回せる条件までは知られていなかったようだ。
フロンタークの顔に浮かぶ、焦りの表情。
小太りの体をよたよたさせながら、こちらへ走り寄ろうとする。
ガチャマシーンの中で、カプセルがコロコロと動き出す。
何やら力場のようなものが発生したのか、近づいていたフロンタークの歩みが止まる。
目の前、一見何も無い空間をペタペタと触るフロンターク。
どうやらそれ以上前に進めないようだ。その場で何やら褐色の煙を手のひらから出し始めるも、力場のせいでこちらへは届かない。
私はその様子を確認すると、スマホへと視線を落とす。
そこにはかつて見たものと似たメッセージ。私の罪を示すようなそれが、紡がれていた。
『ユニット限定プレミアムガチャの発動を確認しました。
時空震へのアクセスを開始。
アクセス中……
アクセス中……
アクセス中……
接続を確立。
異界の選定を開始。
……選定終了。
強制異世界召喚を実行します。
オプションを発動
オプション:転移者隷属術式発動
術式が弾かれました。
オプション:転移者隷属術式再発動。痛覚刺激強度増加。
術式が弾かれました。
オプション:転移者隷属術式再発動。痛覚刺激強度再増加。
術式の強制受理を確認
オプション:隷属存在への意思伝達回路の焼き付けを開始
完了を確認
オプション:転移者の存在のデータ変換を開始
完了を確認
全てのオプションの完了を確認。
ガチャを排出します』
私はスマホに表示されたメッセージにおののきながら、目の前に落ちてきたガチャカプセルを見守る。
ガチャカプセルが開く。
カプセルから、闇が溢れだす。
スマホに表示されるリザルト画面。
レア度 Aレア
属性 ユニット
名称 異界の魔王
闇が人の姿を形作る。
現れたのは、男とも女とも判別出来ない中性的な姿をした人物。
空間が軋みをあげる。
世界の悲鳴が、響き始めた。
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