第96話 異質

 簡易鑑定アプリをジョナマリアさんの魔法陣に向ける。


「……文字化けする?」


 ジョナマリアさん本人や回りの魔女達は簡易鑑定出来るが、魔法陣にスマホを向けても鑑定結果が文字化けしてしまう。


「どうしたの、クウさん?」私の呟きにカルファルファが反応する。


「いえ、何でもありませんよ。ただ、ジョナマリアさん達のしていることが、良くわからなくて」


 私たちが話している間に、ジョナマリア達は移動し、別の場所でも先ほどと同じ動作を始める。

 再び現れる魔法陣。

 繰り返される一連の流れ。


「ああ、そうね。魔女じゃない人には何しているかわからない、か。あれはね、マナの淀みを取り除いているの。大地を巡るマナを一度魔法陣の形にして取り出して、そこに含まれている淀みを解放、再び大地に戻しているのよ。源泉同士が互いにマナで結ばれているのは知ってるでしょ?」


 と、常識でしょって顔で聞いてくるカルファルファ。


「あー、いえ。すいません」


「……」え、そこからって表情をするカルファルファ。


「──大源泉はその全ての源泉を繋ぐマナの供給の大元なのよ」と、こちらを窺いながら説明を続ける。


「はい、何となくわかります」


「そのため、各地の淀みがマナの流れに乗って大源泉にやって来るの。それ自体は常日頃から溜まりやすいのよ。いつもは大源泉の管理者だけでも淀みの浄化は出来るんだけど。今回は特別な何かがあったみたいでね」


「ふーん、そうなんですね。ちなみにジョナマリアさんは特別優秀だったりするんですか?」


「そうよ、当代一でしょうね」


「それなのに、ジョナマリアさんは大源泉じゃなくて、街で源泉管理者をしていたんですか?」と、私は疑問に思っていたことを尋ねてみる。


 そこで、何故かフフフっと笑うカルファルファ。いたずらっ子のような顔。しばらく待ってみるが、カルファルファは口を閉じたまま。

 ……どうやらそこは教えてくれないらしい。どうも魔女の秘密とかではなく、教えない方が面白いと思ってそうだというのが、この短いやり取りでも分かってしまう。


 仕方ないと、訊くのを諦めたその時だった、ジョナマリア達魔女の一団から悲鳴が上がる。

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