第85話 発覚

「□△%Θ─ス─£$¬]@テリらgd」


 と、全身血塗れのユピテルの口から出た言葉は私には意味不明だった。


「あー、ストップ、ストップ! ごめん、何言ってるか私にはさっぱり──」と制止する私。


 先頭にいたユピテルは口を閉じる。

 後ろにいた別のユピテルが一人出てくる。最初のユピテルの肩をぽんと叩く。どうやら交代するようだ。


 二人目のユピテルは返り血も少な目で、どこかおっとりとした雰囲気を漂わせている。

 一人目がかなり威圧感あったので、私は内心ほっとする。


「あたし──ピノ。言ってる」と、ピノと名乗ったユピテル。

 ピノはそのまま、私を指差し、その指を私の口元まで持ってくる。

 ──近いっ!


 私は、思わず後ずさる。

 ピノは気にした様子もなく、今度はその指を自分の耳に当てる。

 その動作を繰り返すピノ。


「あー、もしかして、話しかけろってこと?」私はあたりを見回しながら。


「出来たら片付けながらでもいいかな? このままじゃあ寝れないから」


 じっーとこちらを観察し続けているピノ。

 私はやりにくいな~と思いながら、とりあえず夜営地を移動させるため、ディガー達を呼ぶ。

 私の意図を察してくれたのか、すぐに移動の準備を始めるディガー達。

 そこへゆっくりと近づいてくるジョナマリアさん。


「クウさん、ご無事で何よりです。その方達もクウさんが?」


「ええ。はい、私が召喚しました……。こちらはピノ、という名前です」認めることで何となく周囲の惨状の全責任を負った気がしながら、私はジョナマリアさんに答える。


「はじめましてピノさん。ありがとうございます。私はジョナマリア=サンクルス。おかげで命拾いしました」とジョナマリア。


「はじめ、まし、て。ジョナマリア=サンクルス。あたし、ピノ」


 ──これは、聞いた言葉をすぐに理解して使っているのか? それ系のスキル持ち?


 私はこっそりスマホでピノのステータスを確認する。

 ──それっぽいのないぞ。どういう事だろう。ただ単に本人の能力知力が飛び抜けているのか?


 そんなことを考えているうちに、夜営地の移動の準備が終わる。


 そこへ、ジョナマリアと話していたピノが声をかけてくる。


「ハイヌ、もう居ない」


「あ、ああ。ありがとう。じゃあ開けた場所でも大丈夫だね。ディガーっ!」と私はディガーに伝えようとして、ふと疑問に思う。


「そういや、どうして私たちの居場所がわかったんだ……」と漏れる呟き。


「スマホ。位置情報。源泉に共有されている。一部のモンスター、源泉読む」


「えっ!」


 私は慌ててスマホを確認する。


「本当だ……。あっ、地域限定ガチャ解放された時、そんなようなメッセージあったかも! え、ピンチじゃない、これって」


 私はさーと血が引くような感じに襲われた。



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