第54話 戦闘開始
血吸いコウモリが先導してくれるなか、ディガー達を引き連れ、私は洞窟を急ぎ足で進む。
ぽつん、ぽつんと灯ったランタンらしき何が規則的に壁につけられている。
床も、所々平らに加工されたような跡がある。
(かなり人の手が入っている。やっぱり、ここで間違いなさそうだ)
先行する血吸いコウモリ達の、戦意を感じさせる鳴き声。
(接敵した?!)
私はディガー達に視線をやると、ディアナが軽く頷き、前に飛び出す。
追いかける私たち。
──見えてきた!
そこには血吸いコウモリ達と戦う無数のウッドゴーレム達の姿があった。
カタカタという音を立て、次々に現れるウッドゴーレム達。
そこに、ディアナが襲いかかる。
槌を構えたウッドゴーレム。
ディアナの低めの身長の倍ぐらいの高さの位置にある、そのウッドゴーレムの頭部。
制御回路の仕込まれたその部分を狙い、ディアナが飛び上がる。
ディアナを狙ったウッドゴーレムの槌の振り下ろしは、突然のディアナの跳躍についていけず、空を切る。
ピタッとウッドゴーレムに張り付くディアナ。そのままするするとウッドゴーレムの背面に回り込みながら体を登っていく。
──木登りスキルかっ!
私もスコップを構えながら、そのディアナの滑らかすぎる動きに目を疑う。
その間に、ウッドゴーレムの肩まで登ったディアナ。そのまま、トンっと、両足でウッドゴーレムの肩を前に押し出すように蹴る。
ディアナの体が反動でウッドゴーレムから離れる。
一閃。
ディアナの持つ白銀のスコップが、真横に振るわれる。
鋭く、しかし力が入っている用には見えないその斬撃。
しかしその結果は劇的だった。スパンと切り離されるウッドゴーレムの頭部と体。
表情がないはずのウッドゴーレムが、唖然としている様にすら見えてしまう。
地面に着地しながら、ディアナがその切れ味にまんざらでも無さそうに笑っているのがちらっと見えた。
そのディアナがこちらに合図を送る。
どうやら、ここは任せろということらしい。
危なげなさそうなその様子に、私は甘えることにする。
「わかったっ! お願いねっ!」
迂回して、そのまま走り抜けようとする私たちに襲いかかってくるウッドゴーレム達。
ディアナはピョンと跳ねると、壁をさらに蹴り、三角飛び。
反転し頭を下にしながら、白銀のスコップを振り回す。
銀線が縦横無尽に空間を走る。
そのまま私たちの真横にすたっと着地。
ボタボタと落ちてくるウッドゴーレム達の頭を背景に、ディガーの真似をしてサムズアップするディアナ。
私は、新しくディアナにつけて上げた立体機動のスキルを早速使いこなしている様子に苦笑。そのまま、サムズアップし返すと、奥へと向かって走り続けた。
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