第53話 新たな武器達

 すぐさま戻ってくる血吸いコウモリ達。


 どうやら何か見つけたらしい。

 一つの洞窟へ案内される。


「うん、確かにここっぽいな」


 その洞窟の入り口近くの地面は、熱で溶けたような跡がついていた。

 それも、一度や二度のことでは無さそうだ。何度も何度も熱しては冷め、を繰り返した感じがする。

 例の肉付きの良かった爆風を使っていた男が、何度もここから出入りしたのだろう。


「やせぎすの男がどうやら地下にあった施設を使っていた錬金術師っぽかった。工房、とか言ってたよな。とすると、ここは爆風を使う錬金術師の方の工房か」


 私はキミマロからジャンプして降り立つ。

 洞窟の入り口は、さすがにキミマロは入らない大きさ。キミマロをユニット編成でスマホに送還し、かわりにディガー達を呼び出す。


 皆を見回しながら、考える。


(さっきは不意討ちされたとは言え、かなり苦戦気味だった。先程のレア確定プレミアムガチャで出た、スキルやアイテムで強化しとくか)


 今の私と皆のステータスはこうなっている。


 ◇ステータス◇

 《ネーム》 クウ

 《アプリ》 ステータス ガチャlv2(ノーマルガチャ品目増加) 投稿lv3(写真 動画5秒 一日二回投稿可) 簡易鑑定アプリ

 《加護》  投稿神の祝福

 《スキル》 着火 スワタニ語理解(片言) 駆け足 魔力物質化


 ディガー【ノーム】

 《スキル》 土魔法『金属収集』 錬金術 嗅覚補正(小)


 ディアナ【ゴブリン】

 《スキル》 投石補正(小) 木登り


 ショウ【ゴブリン】

 《スキル》 睡眠耐性(小) 塗装補正(小)


 まずはアイテムを配布する。

 武器になりそうな新アイテムはこちらだ。


 レア度 レア

 属性  アイテム

 名称  真銀のスコップ


 レア度 レア

 属性  アイテム

 名称  炎熱のスコップ


 レア度 Sレア

 属性  アイテム

 名称  斬馬鋏


 そう、なぜか、スコップ率が多い。さっきボーナスで引き直したのも入れれば、二十一回中、三つもスコップが出たことになる。まるでスコップの呪いにでもかかっているのかと、疑いたくもなる。


 まあ、ディガー達はスコップが使いやすそうだから良いのだが。もしかしたら、仲間のユニットの種類とかの影響があるのか……?


 考えてもわからなそうなので、とりあえず一つ一つリザルト画面から取り出していく。

 まずは真銀のスコップから。


「うーん。不思議と軽い。そして刃先がかなり鋭さを持っている感じがする。これは、ディアナだな」


 と、ディアナに手渡す。ディガーはあんまりこの手の繊細な取り回しが要りそうなのは向いていなそうだから、と心の中だけでそっと呟く。


 次に、炎熱のスコップ。


「すごい、刃先が熱を持っているのか?」


 軽く振ってみると、刃先が燃え炎が立つ。刃先の軌道に炎が残る見た目が、楽しい。

 キラキラした目でそれを見ていたディガーに、炎熱のスコップを渡す。

 早速使い勝手を試すように、ブンブンと振り回すディガー。満面の笑顔がかわいい。


 最後に、武器では唯一のSレアだった斬馬鋏。どうもザンバサミと読むみたいだ。

 見た目は、普通の真っ黒なハサミ。馬の紋章があしらわれていてお洒落ではある。

 当然、唯一残ったショウに手渡す。

 何故か恭しく、そして慎重な手つきで鋏を扱うショウ。

 そっと腰の後ろの部分にしまっている。


 素人の私にはよくわからなかったが、どうやらショウは使い方を理解しているようなので、よしとする。


 あとはスキルを本人達の希望を聞きつつ、割り振っていく。



「皆、準備はいい?」


 皆が新しい装備を構え、頷く。

 血吸いコウモリ達も、ディガーにぶら下がり、同意らしき鳴き声をあげる。


「よし、最大限のことはした。これより、侵入するっ」


 そして私たちはリスティアを助けるため、洞窟へと入っていった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る