第51話 追跡

 私の伸ばした腕は到底、リスティア達に届かない。

 急ぎ、割られた窓枠まで駆け寄る。

 靴の下でガラスの砕ける音。


(どうするっ! 奴らが、スタンピードの黒幕だろ? 例の地下でリスティアを監禁してた錬金術師とやらに間違いない。逃げたリスティアを再び捕まえに来たんだな。あれは、血吸いコウモリ達じゃあ、追い付かないぞ)


 私が必死に考えを巡らしている間にも、みるみる小さくなっていくリスティア達の姿。

 よく見ると、植物で出来た翼らしきものが、ヒョガンと呼ばれた男の肩から生えている。ケイオスの足から放たれる爆風は、前の世界のジェットエンジンほどの速度はさすがに無さそうだ。

 俺はスマホを取り出し、いいねを確認する。


「焔の民の少女なら、殲滅は出来るだろうけど、リスティアまで危険だ……。いいねの数は……? よし、よし、よしっ! 2000いいねっ。」


 意外と伸びているイケメンライオン執事の写真のいいね。


「獣人好きのケモナーの閲覧者に、感謝! 出来たらユニット限定プレミアムガチャが良かったけど、今はこれにすべてをかけるしかない!」


 私はたまったいいねをつぎ込み、レア確定プレミアムガチャを20回、回した。


「飛行系のスキルかユニット、頼むっ!」


 次々にガチャカプセルが開くモーションを固唾を飲んで見守る。


 リザルト画面が出る。

 急ぎスクロールして、レア度と追跡に役立ちそうか確認していく。


「レアアイテム、レアユニット、レアスキル、おっSレアスキル。残念、飛行系じゃない………」


 次々にスクロールしていくが、残念ながらまだ飛行系のスキルもユニットもアイテムも出ない。

 そして十九個目まで確認。まだ、出ない。


「次が、最後! 頼む……」


 祈るような気分で、スマホ画面をスクロールする


「……あぁ」


 最後は、これだった。


 レア度 レア

 属性  アイテム

 名称  白銀のスコップ


 その時だった、スマホ画面が突然光り出す。

 表示される文字。


『~サプライズボーナス発生~ 

 ガチャの引き直しが一度だけ可能となるボーナスが発動しました。

 こちらはランダムで発生するボーナスとなります。

 実行しますか?


 ・はい

 ・いいえ』


 私は迷わず、はいをタッチ。


 スマホの画面内では、白銀のスコップのアイコンがカプセルに戻るモーション。そのカプセルが光って消えると、再び、ガチャマシーン登場。

 カプセルが一つ排出される。


 思わず震える指でリザルト画面へ。


 レア度 SSレア

 属性  ユニット

 名称  天駆けイルカ


「それっぽいの、きたーっ!」


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