第15話 Sレア

 無事に宿にたどり着き、部屋も取ることが出来た。

 私は今、部屋のなかでスマホを見ている。


 時間的にもこれから薬草採取に行く気になれず。

 早く宝珠を手にするには、きっと地道に依頼をこなし、ランクを上げなくちゃあ、いけないことは頭では理解した。だけど、どうにも遠回りに思えて仕方ない。そんな事をしていたら、いつあの地下室に行けるのか、と憂鬱になる。


 私は気分を変えるためにも、まずは投稿アプリを開く。


「いいねの数はどうかなー。おおっ! お、おう?」


 私が今日投稿した写真に早速いいねがついている。


「すごい、投稿してそんなに時間がたってないのに、もうこんなに。200以上のいいねがたまっている。あ、これは最初に投稿したディガー達の写真についた、追加のいいねも含んでなのか」 


 私はスマホを確認して納得する。


「新規投稿した写真にも、コメントある。何々……。 何だか渋いおじさま素敵って系統のコメントがやけに多いな。確かに歴戦の戦士揃いって感じの所を写メったけど。後はこの人はやけに鎧について熱く語ってるな。まあ、内容は肯定的なコメントで良かった」


 私は次にガチャアプリを開く。


「まずは、この200いいねで、レア確定ガチャを2回! はい、ぽちっと!」


 ガチャの排出される動画がスマホ上で流れる。


 そして現れるリザルト画面。


 レア度 レア

 属性  スキル

 名称  魔力物質化


「残念、レア確定でレアかー。ガチャ的には外れだけど。そして、なんだろ、これ? 魔力、物質化?」


 私は首を捻るが、とりあえずスマホの次のリザルト画面に行く。


 レア度 スーパーレア

 属性  アイテム

 名称  ユニット進化チケット


「おおお! スーパーレア! いわゆるSレア、きたぁー!」


 私は早速スマホから取り出して見る。

 ヒラヒラと現れるチケット。

 握ると、スマホがピロンと、鳴る


 スマホの画面にユニット進化チケットの文字が。


 その文字をタッチすると、こんな文章が現れた。


『ユニット進化可能な個体が存在します。


 ・ディガー


 ユニット進化チケットを使用致しますか。

 注意:一度使用すると取り返しがつきません。ご注意下さい』


 私は勢いで、ディガーに使おうかと思った瞬間、最後の一文が目にはいる。


「取り返しがつかないとかどんな脅し文句だ……」


 思わず指先が固まるように止まってしまう。


「でも、進化したら戻れないのはある意味当然だよね。よし、使おう!」


 しばし悩むが、せっかくあるのに使わない手はないと、ユニット進化チケットを使用する。

 ディガーの名前をタッチする。


 スマホの画面が切り替わる。


『ディガー:ゴブリン


 進化先

 ・ホブゴブリン

 ・ノーム

 ・ゴブリンファイター』


「おお、まさかの進化先が選べるパターンですかっ」


 私はそんな事を呟きつつ悩む。


 どこかに新しく出てきた進化先の説明がないか、スマホを隅々まで確認する。

 どこにもない。


「これは、全く情報なしで選ばなきゃいけないのか……。よしっ。決めた!」


 私は、スマホ画面をタッチした。



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