選択肢A 警察に電話をした。
選択肢A 警察に電話をした。
その日も写真が届いた。そして今日は更に私の部屋のベッドの上に赤い文字で書かれたメモが置かれていた。メモにはこうあった。
「私はいつも見ている」
ついに私は耐えられなくなり、警察に電話をした。
警察を待つ間も恐怖心は高まるばかりだった。数秒数分の時間が永遠のようにも感じる。
よく考えれば、部屋に閉じ籠もっていても何も安全ではないのだ。あの男は私の部屋に自由に出入りできるのだから。
しばらくして、チャイムが鳴った。私はゆっくりと扉に近づき覗き穴から訪問者を確認した。そこには制服を着た近所の交番の警官と思わしき人物が立っていた。〇〇交番の者です、と声がする。しかし顔をよく確認してみると、俄に背筋が凍った。
ドアを挟んで目の前に立つ男は、あの怪しい男だったのだ。私は息を潜めやり過ごそうとしたが、後退った拍子によろめき、小さな音を立ててしまった。
しばらくの静寂の後、玄関のドアの鍵が外側からカチャリと音を立て解錠された。扉が開くと、警官の制服を着たあの男がニヤリと口角を上げながら部屋に侵入してきた。
「この前は、鍵を拾ってくれてありがとう。とても大事な鍵だったんだ、君の部屋の鍵だからね」
私は驚愕と恐怖で凍りついた。あの時拾い上げた鍵が、自分の部屋のスペアキーだったのだ。あの時すでに私は狙われていた……。
「ぼくが警官なのは本当だよ、何度か見廻りの時に挨拶をしてくれた君が記憶に残ってね。やっと
男はその笑顔と猫なで声とは裏腹に、懐からナイフを取り出し私に向けて振り下ろした。
薄れゆく意識の中私は思った、全ての始まりは私の良心だったのだ。
『リョウシン』
選択肢Aルート 「私の良心」 了
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