第28話

 

 燃え上がる炎とは、 くの如く。


 そううたわれる炎髪の向こう側にえられた大剣が、 かすかに動きを見せたとリュートが感じたその時にはもう既に。 うなりをあげながらも滑らかに振り抜かれたその一撃は、 まばたき一つの間にはリュートの視界一杯へと迫っており……切っ先と表現するにはあまりにも大きなそれを間一髪、 上体を後ろに反らす事で何とかやり過ごす。


「あっぶねっっ!? 」


 神界での厳しい修行にて会得した【回避】スキルのお陰で、 届かないと分かってはいたとしても。 眼前をかたまりが駆け抜けていき……少し遅れ気味にやって来る風圧をほほを始めとした顔面のあちらこちらで感じると、 何とか抑え込んでいた恐怖心を叩き起こされた気がして……端的に言えば、 心臓に悪い。


 初めての命のやり取りを伴った戦闘、 そして敵対国家での作戦行動にて味わった心と体の疲労を惰眠を貪る事で回復したリュートを待っていたのは、 実の父ラグナとの一対一タイマンであった。


「はっはっは! これもかわすか!! 」


 実の息子に向かって喜々とした表情で大剣を振り回すその姿は。 “竜殺し”の二つ名を持ち、 グランディニア大陸最高峰ランクAの冒険者の一人である男の姿とは程遠い、 酷く子供じみたものであった。


 しかしながら、 やはりその実力は疑いようもなく確かなものであり。 今現在、 でラグナと相対するリュートが受ける圧迫感を言い表せば、 足が縫い付けられる――幻覚を覚える――と言った所か。


 何とか姿勢を戻したリュートが左手前方、 距離にしてほんの数メートル先にて大地に自分の得物にチラリと視線を向ける……ただそれだけの動作が。 大剣を構えたラグナから、 一瞬でも目を離す事が恐ろしくてたまらない。


「……くぅ!? 」


「ほう、 よくこらえたな 」


 迅速かつ大胆に振り抜かれる大剣は、 リュートに対して僅かな逡巡しゅんじゅんすら許さないとばかりに先ほどとは逆向きの軌道でありながらも、 まるで罫線けいせんをなぞるかの様な精確性で再び、 リュートへと到達するのだ。


 人間というよりも大型の工作機械を相手にしているかような、 感じる不安や悪寒を全身で抱きながらも……リュートは、 心の内に生まれた言葉を素直に音に乗せて吐き出す事で、 どうにか平静を取り戻そうと試みる。


「やっぱ、 ファンタジーの住人やべぇわ 」





 さて、 朝日と呼ぶにはやや暖かい太陽の下での会合を無事に終えた一同は、 その本題であった武器を用いた実戦形式の訓練へと移る運びとなったのだが。 いざ腰を上げてみると、 リュートはスウェントやアルとは別の班へと分けられる事が当のロイから発表された。


「リュート、 お前はラグナに着いて行け 」


「あれ、 親父と? 」


「ふっふっふ 」


「……まぁ、 別にいいけどさぁ 」


 戦い方を教えてやる云々うんぬんと言われたものだから、 リュートはてっきりロイ――実際は代役のアダゴレ君――にしごかれるものだと思っていたのだが、 どうやらそうでは無いらしい。


 何やら父親の様子が少しおかしい気もするが、 真面目な話が終わるまでは領主としての仮面を被っていたのか……或いは、 領の象徴であった自宅を失った悲しみを上回るだけの、 せいのベクトルの感情が沸き上がって来ているからなのか。


 ともかく、 まだ治療の必要があるデヴォリを伴って村内へと戻っていく面々を首をかしげながらも見送ったリュートは、 ラグナと連れ立って奥――森林側――の方へと歩き始める。 親子二人っきりの散歩は、 澄み渡った空の青、 その空に向かって突き上げる様に生え揃った黒みを帯びた緑、 そして赤茶けた大地を踏みしめ歩く父親の背中……と言った構図を維持したまましばらく続き、 唐突に――リュートからしてみれば――終わりを迎えた。


 思い返してみれば、 こうしてラグナと二人っきりで何かをする、 と言うのは初めての機会かもしれなかった。 トゥールーズの地に生まれ落ちて以来、 リュートの傍には常に兄二人と弟の存在があり。 魔物の領域を目と鼻の先に抱えた土地柄上、 多忙にならざるをえなかった両親――特に父親――と接する時間はどうしても短いものであった。 リュート自身、 一から十まで望んで転生した訳でも無いのでどうしようもない事だが、 “息子”として立場を置き換えてみれば間違いなく扱いに苦労したに違いない。


「デヴォリはどうだった? 」


「……うん? まぁ、 強かったよ 」


「そうか……【インベントリ】、 起動 」


 あれこれと思考を飛ばしていたせいか。 リュートがあやしい返事をした時にはもう既に、 ラグナは森を背にするように向き直っており……加えて、 次の動作へと移っていた。


 “起動”の掛け声と共に持ち上げられた、 男らしい無骨な左手の先には瞬時に漆黒の円が虚空から生まれ、 広がる。 対面したリュートから見るとやや隠れ気味となったラグナがそのまま曲げていた肘を伸ばすと、 指先から水面に沈み込むようにして行き……何かを引き抜く動きに合わせるように黒い円盤は収束し、 また虚空へと姿を消した。


「お、 おおぅ…… 」


「うん? を見せるのは初めてだったか? 」


「う、 うん 」


「まぁいい、 ほれ 」


 ぬるっと人型から鳥の姿へと変態する何処かの使い魔とはまた違った、 ファンタジーな光景にしばし目を奪われたリュートであったが。 合図と共に投げ渡されたブツを視界に収めると直ぐに正気を取り戻し……すかさず両手でしっかりと受け止めた。


 それは勿論、 リュートがこのグランディニア大陸で生き抜くために必死でモノにした、 唯一と言っても良い武器である……大鎌。


 両のてのひらに収まったつかは、 まだ成長の途上にあるリュートでも片手で扱える程度には細長い。 先日振るった鉄パイプ――テュレミエールの槍を流用――の柄が円形だったのと比べると少し潰れた楕円形となっているが、 これはくわや金槌、 ピッケルと言った振るう方向が限定される道具の特徴の一つであろう。


 そのまま視線を上げていった先にあるのは、 当然ながらこの武器の最大の特徴である大きな鎌。


 釘抜きの付いた金槌を薄く叩き伸ばした、 或いは黒板サイズ――教師用――の三角定規をそのまま柄に突き刺したようにも見えるそれは、 何処かの道路標識を引っこ抜いて持ってきたかのような珍妙さであり……ファンタジー空想の舞台たるグランディニアでさえ見える。


 それはともかく、 慣れ親しんだ得物をある意味では振るう機会を得たリュートは、 演武を披露するかのような心持ちでもって自分の身体を軸として黒褐色の大鎌を旋回させる。


 転生してリュートとなって――血肉を得て――から初めて振るう己の相棒大鎌は、 幾分かのぎこちなさはあるものの。 片手だけでの縦旋回、 そのまま背後で持ち替えてから頭上へと抜けて、 逆手での横旋回。 長物ながものをそれと感じさせない軽快な運びは、 同世代の戦いを志す少年のそれとは明らかにを見せつける程度には円熟していた。


「おぉ……ふむふむ……んん? 」


 しばらくの間、思うがままに大鎌を振るっていたリュートであったが。 初めて買い与えられた玩具をいじくり回す様な高揚感と同時に拭いきれない違和感もまた、 覚え始めていた。


「長さは……まぁ良いとして。 こんなに軽かったっけな? 」


 丁度、 柄尻まで含んだ大鎌の全長がリュートの背丈とほぼ変わらない事はまぁ良いとして。 眼前の父親の様な、 完成とは程遠い肉体でしかない自分でも軽々かるがると振るう事が出来る、 この武器とは一体――


「いい機会だ、 説明しよう 」


 ――心ここに有らずであったリュートの内心を見て取ったのか。 大鎌の旋回の終わり、 動きと動きのつなぎ目に差し込まれる様にして耳に届いたその言葉に、 リュートは腕の力を抜いて制動を決め込む。


「その得物の長さについては……ふむ。 これは―― 」


 それは、 二十年以上にわたって大陸有数の危険地帯で最前線に立ち続けた表看板フロントマンとしての矜持からか。 はたまた、 いつも次男スウェントに任せきっている指南役を果たせる事がよっぽど嬉しいからなのか。


 いつもよりも遥かに饒舌じょうぜつなラグナの姿を前にして、 普段とのギャップに戸惑うリュートであったが。 確かに彼の言葉の通り、 グランディニア最高峰の冒険者から面と向かって教えをさずかる機会と言うのは中々に貴重であると言えた。 生まれ変わるから銀河の暴君と言う、 理外の存在と接点があったリュートの感覚がズレてしまっているだけで。 実はリュートの周囲にいる大人達は皆、 隣国どころかグランディニア大陸でもその名を轟かす実力者が揃っているのである。


 話を戻すが、 大鎌や大剣の“大”はどうやって決まるのかと言うのが今回の題目の一つ目であり。


 結論から言えば、 その武器の使用者の腕の長さや身長で決まる。


 武器として最もポピュラーな剣を例に挙げると、 使用者の肘から指先までの長さを越えなければ短剣、 越えたときは剣となる。 そして、 剣の長さが半身を越えた時は長剣、 全身を越えた物を大剣と呼ぶ。


 この“使用者”と言うのが味噌で、 純人種ヒューマン以外にも森人族エルフ鉱人族ドワーフ獣人族セリアンスロープ竜人族ドラゴニュート鳥人族バーディアン海人族マーマン小人族ホビットと実に様々な種族が暮らすグランディニアでは。 共通の物差しこそかの初代国王が用意出来たものの、 魔物との生存競争が必須とされる世の中において、 己の相棒となる武器の種別までも統一するには至らなかった事に由来する。


 これは別に、 種族間の溝を埋められなかったとか言った話の類では無く。 単に、 【長剣】のスキルを持つ純人族が小人族用の長剣を用いたとしてもと言った結果から導かれた、 ひとえに効率の問題である。


 要は、 魔物を倒す為に用いられる武器において、 その本人の使い勝手以上に重要な事は無いという何とも実利一辺倒なものである。


 つまり、 リュートがもつスキルが【大鎌】である以上、 その武器は最低でも柄尻から先端までの長さが今のリュートの身長とほぼ同等のものが求められるという訳である。


 これに関しては、 グランディニア大陸に住まう人々の共通認識であり。 そういった意味では“仕様”と表現した方が、 リュートの理解が得られるであろう。 無論、 納得がいくかは別として。


「――次に、 その素材は……まぁ、 これは訓練だからな。 模造品なのは当たり前だ 」


 リュートが感じ取った軽さは、 ある意味では当然と言った所か。 流石の“竜殺し”とは言え、 実の息子に初めて与える武器に間引きされていない――実戦使用の――刃の付いた物を与えたりはしなかった。


 ただ、 リュートが受け取った大鎌の色が黒褐色をしていると言う一点だけでも実は、 今回の訓練におけるラグナの気合の入れようを感じ取る事が出来る。


 南部大森林を始めとする魔素の濃い地域のみに自生するこの木材は、 非常に硬い黒褐色の外皮と柔らかくもしなやかな心材を併せ持ち。 辺材だけでも十分な外壁に、 板目と柾目まさめのどちらで扱っても優秀な建築材料として、 丸太ごと据えれば家屋はおろか領主館等の重要施設の大黒柱としても最高級の品質を示すスーパー木材であり。


 また、 贅沢にも若木を伐採する事で槍等の長物武器の柄としては、 大陸内でも最高峰の性能を発揮する事から“黒槍こくそう”と名付けられた……グランディニア中の長物使いが一度は手に入れたいと恋焦がれる、 トゥールーズの様な魔境以外の地域では非常に高価な交易品として扱われる高級木材なのだ。


 以上のような事実を誇る事もなく、 ただ淡々と語るラグナの心境をのぞき込んだならば――


(「……ふっふっふ、 これか? これこそが“父親”かぁ!! 」)


 ――と言った声が漏れ聞こえる処か、 増幅器アンプで拡声された心の叫びが耳にやかましく響いたであろう。


 今彼は、 大陸中の父親が一度は夢に見る理想的な父親像――子供にキャッチボールを教える的なアレ――を他の誰でも無い、 自分自身で体現しているのだ。


 長男のマガトは、 後継ぎフォンとして優秀の一言では片づけられない程に立派に成長してくれた。 さきんじて生まれた、 ただそれだけの理由で弟達をあらゆる危険から守り抜く為に幼い頃から厳しい訓練をその身に課し、 絶え間なく努力するその姿は当主ラグナだけでは無い、 トゥールーズと言う集団全体へ連帯感以上の誇らしい気持ちを与えてくれた。


 しかし、 マガトのメインとなる戦闘系スキルは【盾】なのだ。 片手が盾でふさがれる以上、 両手での扱いが必須とされる大剣の様な重量武器は両立し得ない。


 次男のスウェントは、 生まれながらにしてフォンになれないと分かっていながらも腐らず弟達の世話を焼き。 時には弟としてラグナには不可能なマガトの弱音を引き出すと言った、 彼しか成し得ない役割――兄と弟の兼任――を存分に発揮してくれている。


 しかし、 スウェントは母親アリアに似た。 戦闘系スキルは【杖】が精々で、 彼のメインは魔術系。 それも持って生まれた四属性で遠距離から確実に相手の弱点を突く、 純魔術師ピュア・メイジだ。


 そんな二人の後に生まれてきてくれたのが、 ご存じリュート=ヴァン=トゥールーズである。


 リュートは神界にて散々時間を掛けてもなお、 戦闘系では【鎌】系統のスキルしか習得し得なかった。 【鎌】、 【片手鎌】、 【鎖鎌】、 【大鎌】の四つである。


 この中で、 【鎌】は【剣】のような言わばスキルツリーの根っこ部分にあたる為、 実質三択。 相手となるのが人よりも大きな体躯で、 優れた肉体や強靭な牙や爪を持ち。 魔術――の原型と考え得られている――すら扱う魔物である以上は、 長期戦を避け一撃で仕留められるだけの火力を求める事は自然の理。 実質【大鎌】一択であったと言える。


 断じて……リアルな物理法則の影響下にある鎖鎌の分銅及び鎖部分では、 手首の梵字ぼんじマークから射出される闇や光を纏った超高性能な鎖にはなり得なかったとか。 一撃で敵対勢力に痛打を与える“強襲型”と言う響きにリュートの心が躍った……と言う訳では無い。 自然のことわりである。





 そんなこんなでラグナのやる気が炸裂……寸前まで高まっていた親子の模擬戦闘タイマンであったが。


 初戦は、 自分より大きな者に相対する際のある種の鉄板。 足元を狙い、 出来るだけ低い軌道での薙ぎ払いを放ったリュートが、 得物の長さを見誤って鎌先――鎌の先端――を鍬の様に大地に突き立ててしまい……絶望的とも表現できる無手での攻防を強いられる形で始まった。


「……はぁ、 はぁ、 はぁ 」


「……とりあえずは、 こんな所だな 」


「ふぅ~ 」


 互いに五分の条件で始まった模擬戦である以上、 攻防……と取り繕ってはみたものの。


 リュートに出来た攻撃は、 ラグナからゆずられた先手で放った未遂の薙ぎ払いのみであり。 一度手放した武器を、 再度拾い上げる間を与えるような悠長ゆうちょうなマネを戦意に満ちたラグナがするはずも無く。


 只管ひたすらに回避を強制されたリュートの集中力と息が切れた所で、 必然と呼べる終わりを迎えた。


 呼吸は散々に乱れ、 ラグナが戦意を解くや否や地べたに座り込んでしまう……まるで良い所が無かったリュートであったが。


「……成程ね 」


「…… 」


 決して何も得られなかった、 と言う事は無い。


 寧ろ、 ここへ来てようやく。 人と魔物とが互いに命と尊厳を賭けて、 それを削り合う……グランディニアの大地で生き抜くとはどういう事か、 頭と身体と心でもって理解するに至ったのかもしれない。


「……うん。 俺みたいな弱い人間は、 武器が無きゃ何も出来ない 」


「……そうだ 」


 リュートの前世――つまり地球――においては、 武器とはあくまでも人間を殺す為の道具でしか無かった。 何故なら、 地球にいて人類の“敵”は同じ人間を除いては存在しないか、 既に絶滅していた。


「ただ扱えるってだけじゃダメなんだ。 低い所で満足してちゃダメだ 」


「……その通りだ 」


 グランディニアではそうでは無い。 武器とは、 あくまで人が魔物と対等に戦う上でのに必要な物でしか無い。 だからこそ、 己と仲間の生命をチップとして強大な魔物に打ち勝った人……その者を人々は、 英雄と呼ぶ。


「……あれ? だったら、 竜をぶっ飛ばしてトゥールーズウチをぶんどった親父って…… 」


「……んむふっ!? 」


 そう、 リュートの父親であるラグナ=フォン=トゥールーズは紛れもない英雄である。


 近年では類を見ない、 魔物の領域に直接乗り込んでの黒地竜の打倒及びその領域の解放。 また、 ラグナ達が“竜の巣”と呼称されたこの地域を攻略した事により、 かつて二十数年前にアルバレアの全地域を襲った魔物達の大脱走スタンピードと呼ばれた災害を収束せしめた事も、 彼とその仲間達が国家間をまたいで今でも高い評価を得ている理由でもある。


 その輝かしい功績が、 当時から色濃い影を生み出し。 それが今もなお、 アルバレア公国の日の当たらない場所に根付いていたとしても……たとえラグナ達が成した偉業が、 そう言った人の持つ“負の側面”から向き合う事を避けた――ある種の逃避としての――結果であったとしても。


「だったら、 今日から俺は…… 」


 父親の背中――文学的な意味のそれ――を見て、 確固たる決意を心に決める……今まさに、 リュートは前世でその目に焼き付け、 愛読した筈に違いない冒険譚ライトノベルの主人公その道をひた走っているかに見えた……あくまで、 リュート当人の主観では。 これが所謂いわゆる、 “覚醒イベント”とやらに違いないと。


「……リュートぉぉ!! 」


「はぁ?? 」


 反省がてら、 こうべを垂れる様に荒れ地に突き立ったままであった己の相棒を回収し。 決意新たに明日からの訓練を励もうと……言ってみれば、 『〇〇は明日から~ 』の心境でいたリュートの前に立ちはだかったモノ、 それは――


「受けろ我が剣! 我が闘志ぃぃ!! 」


 ――それこそリュートの関知し得ない所で燃料を蓄え続け……たった今、 炸裂したばかりの暑苦しい父親が意気揚々とその得物である大剣を振り下ろす、 その姿であった。


「ちょっ!? ちょっと待てよ親父ぃぃ!! 」


「待たん! 今の俺の息子への愛と情熱は、 万年雪すら溶かして見せるぅぅ!! 」


「……くっそがぁ! その言葉、 生きて必ずお袋に伝えてやる!! 」


「お、 おいぃ!? アリアの名前を出すのは卑怯だろうぅぅ!! 」


 この日、 ラグナがかつてこの地・トゥールーズにて火をとぼし、 仲間達が燃え上がらせたその意志は……確かに、 リュート=ヴァン=トゥールーズへと受け継がれた。


 この時より二年ののち、 此処より北の大地アルバレアにて、 その炎が燃え上がる事となる。




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