26話 初戦闘!




私はオークに向かって行き、剣に体重をかけて振った。




ズバッ!




右手を切るのに成功した。




よし!行けますわ!




右手を切り落としに成功した私は固さがなくなり、バッカスと模擬戦みたいに動けるようになった。




オークは一瞬、何をされたか分かってないようだったが、自分の右手がないことに気付き怒り狂った。




「ブモォー!!」




左手で殴ろうとしてくる。




私は、すかさず左へ飛びはね避けた。


そして剣を振りかざし




ズバッ!




左手も切り落とせた。




オークは左に傾き馬車に当たり、馬車が少し傾いた。




ここでしては馬車が壊れてしまう。




私は側道に走った。


怒ってオークは私を追ってくる。オークと戦っているジャンさんと、サラさんを横切る。




「「えっ?フレアちゃん?」」




二人は驚いた顔で走る私を見た。




でもちょっと離れた所で追いつかれる。




やっぱり足の長さが違うからキツイですわ。




私は振り向きざまに、オークの胴体にめがけて剣を振るう。




胴体がスパッと真っ二つに!····というわけにはいかなかった。胴体に剣が少しめり込んだだけだった。


やはり女で、小さい私には無理だったわ。




そう思った時に、オークに体当たりされた。




「きゃっ!」




私は五メートルくらい飛ばされ木に激突した。




「いたっ!」




ゴツン!




しかも頭に何か落ちてきましたわ。




それより痛いですわ···。全身が痛い。動けない····。


涙がでた。




でも、お母様を守ると約束したわ!




私は自分を叱咤し立ち上がった。




両手がないオークが追ってくる。




例え刺し違えてでも、あのオークは倒すわ!




気合い一発!




「豚野郎ー!」




かけ声と共にオークに突進し、飛んで左胸に剣を突き刺した。




「ブヒィー!」




オークは血を吹き出し倒れた。




倒せた?




オークは動かない。




やったー!




でも喜んでる場合ではなかった。




他もかなり苦戦していた。サラさんとケインさんはかなり血を流していた。




ジャンさんたちも傷だらけになっている。




攻撃魔法が使えるのはジャンさんだけと聞きました。




ジャンさんは火魔法で攻撃している。




····やったことないけど、やってみるしかないですわ···。




本にあった内容を思い出しながら手のひらに魔力を集中させる。




練習もしたことない。不安はありますわ。




でも




「私は英雄のダン·フィン·アンドリエの娘よ!」




自分を信じて!




サラさんがオークに殴られ倒れた。


オークがサラさんに襲いかかる!




そのオークに目掛けて、




「ファイヤーボール!」




私は火の玉を放った。


何と!そこにいたオーク三匹のお腹を貫通しました!




サラさん、唖然。私も唖然。




上手くいきましたわ!




ですが他のオークが一斉にこっち向かってやって来ました!




いやー!




私はまだ慣れてないので、魔力を溜めるのに時間がかかる。




とりあえず、ちょっと溜まっては撃つことにした。




「ファイヤーボール!」




「ファイヤーボール!」




さっきよりは、やはり威力がなく怪我をさせる程度しか出来なかった。




うぅ~ヤバいですわ~!




ですが、「フェニックス」の皆さんが手助けしてくれました。




私の火の玉の衝撃で倒れたやつや、動きが止まったやつを一刀両断にしてます。




私も少しは役にたったかしら····。




残り数匹になった所でお任せすることにしました。




私は少し休もうと、私が激突した木の下へ座ろうとしたら、




「あら?」




20センチくらいの大きさの卵が落ちていた。全体は白色に見えるがうっすらとグリーン色がかかっている。




卵が落ちていないかと思ってたけど、本当に落ちてきましたわ!




あっ!そう言えば、激突した時に頭の上に何か落ちてきてましたわ!




···あれはかなり痛かった···。




木の上を見ると、20メールはあろうか。かなり上の方に巣らしきものが見える。




···あんな所から落ちても割れない卵って···


当たってよく気絶、もしくは死ななかったわ···。戦闘中で気を張っていたというのも関係してたのかもしれませんけど。




私はその卵を拾い持った。




何の卵かしら···。ジャンさんたちならご存知かしら。聞いてみましょう。


爬虫類系でなければ育てたいですわ。




私は爬虫類系は苦手なのです。特に蛇が!


その辺は前世から変わってませんわ!




「フレアちゃん!大丈夫!?」




リンダさんがこっちに向かってくる。




周りを見たらオークは全て倒されていた。




「大丈夫で····」




ドサッ!




私は安心したのか、全身から力が抜け、意識を失い倒れてしまった。




しっかりと卵を抱きしめたまま···。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆






私は背中に痛みを感じて目が覚めた。




「うーん。」


目を擦る。




「フレア!」




「お母様····」




「よかったわ!フレア!」




お母様が涙を流しながら私を、抱きしめてきた。




「駄目じゃないの!あんな戦闘中に外へ出て戦うなんて!」




あっ!そうだった!少し恐怖がよぎりましたが、




「お母様!私もオークを倒せたんですよ!」




私は喜んで報告をしましたわ!




「···ジャンさんたちから聞きましたわ···。フレアのおかげで、危なかった態勢から逆転てし勝利できたと···」




え!私が勝利に貢献したのですね!




「でも、もうフレアには戦闘には参加して欲しくないの。」




「·····。」




「貴女に何かあったら···」


お母様はますます、ポロポロと涙をこぼした。




「私はお母様を護りたいのです。」




「いいえ!守らなくもていいのです!人はいつかは死にます。それが魔物に殺されようが···フレアを犠牲してまで生き残ろうとは思いません!」




お母様···




私は起き上がり




「お母様、私はお母様を守る義務があるのです。」




····そう、お父様が迎えに来てくれるまで···。


私はお父様がお母様を必ず迎えに来ると信じてます。お母様に最後にかけた言葉『ミチルダ···愛してる』私は本心だと思っております!


このまま、お父様が引き下がっているわけはないと確信しております!




「私は、世界最強と言われている英雄、ダン·フィン·アンドリエの娘です。まだまだ魔法を勉強しないといけませんが、私は負けませんわ!お母様を幸せにするのです!」




ガッツポーズをする。




「フレア···」




その時に眩暈と、強烈な背中の痛みが押し寄せた。


私はパタリとベッドに倒れる。




「フレア!?」




お母様が心配そうに見た。




「すみません。お母様。眩暈と背中が痛くて···」




まだ眩暈が治まりませんわ。




「眩暈は魔力を急に一杯使ったからでしょう。背中は···見せてごらんなさい。」




眩暈は魔力を使ったからかあ。


その時の光景を思い出し、身震いした。


初めてあんなに魔力を使ったので、加減が分からないわ···。




私は横に向きお母様に背中を向ける。


お母様は服をめくり




「まあ!大きな打撲傷があるではありませんか!」




お母様は急ぎ鞄の所へ行き、薬を探す。




打撲傷はきっと、木に激突したからね···。ずきずきしますわ。




そういえば卵!




「お母様!私は卵を持ってませんでしたか?」




倒れた時に割っちゃったかしら!でもあの高さから落ちても割れない卵だから大丈夫だと思いますが。




「卵はありますよ。今は傷薬を塗りますから後でね。」




卵無事だったんですね!良かったですわ!




お母様に薬を塗ってもらい、服もワンピースに着替えた。




「卵はここよ。」




お母様が持ってきてくれました。




見たら果物篭にタオル数枚を被せてあった。




それをめくり確認する。


卵は傷ひとつなかった。




「良かったわ····」




「この卵どうしたの?貴女が運ばれて来たときに、しっかりと抱きしめてあって取り出すのに苦労したわ。」




お母様、すみません。




「オークとの戦闘中に体当たりされて木に激突したのです。その時に落ちてきた卵です。」




「なんですって!体当たりに激突!?」




お母様の顔が真っ青になってます。




「背中の打撲傷はその時に出来たものです。」




「まあ!」




お母様に、すぐさま着せて貰った服を剥ぎ取られました。そしたら鎖骨から肩にかけて打撲痕がありました。お母様はすぐさま薬を塗ってくれましたわ。




もう一度服を着せてもらい、ベッドに横になる。




「この卵はなんの卵でしょう!」




「多分グリピーツフォンの卵だと思うわ。」




「本当ですか!?」




まさか欲しかった、グリピーツフォンの卵なんて!


···運が良すぎて怖いですわ···




「多分よ。マリアが持って帰った卵がこんな感じだっから。確かこんな風に、うっすらとグリーがかかっていたのを覚えてるわ」




「····育ててもいいですか?」




お母様は少し考えて


「···やるからにはきちんと育てなさい。」


許可してくれました!




「もちろんですわ!しっかり育てますわ!」




私は篭から卵を出してもらい、布団の中に入れた。




上手く育って無事に産まれてね!






「ジャンさんたちに、目を覚ましたこと言ってくるわ。」




お母様は、ジャンさんたちへ報告しに行った。




私は卵を布団の中で抱え、痛みを堪えながら少し目を閉じた。

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