27話 私は強くなりたいんです!




「フレアちゃん!大丈夫?」




ドタドタと、サラさんが馬車に入ってきた。




「大丈夫かよ!?」




ジャンさんたちも来てくれました。




「ありがとうございます。まだ怠いし、痛いとこもありますけど、大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません。」




私は頭を下げた。




「いやいや、謝ることはないよ。フレアちゃんが攻撃魔法をしてくれたから、こうして俺らは生きているだし。」




「そうよ!フレアちゃん!もうダメだと思ったら、オークの腹に穴が開いててびっくりしたし、助かったもん!」




セイルさん···サラさん···。




「でも、フレアちゃん、もう危ないことはしないこと!これらは俺らの仕事だし。」




「「おい!ジャン!」」




「そうだろう?今回は上手くいったけど、戦闘に慣れてないやつに入られると、こっちが上手く動けなくなる!命の危険性が高くなるんだぞ!しかもフレアちゃんはまだ10歳だ!」




「「「·····。」」」






ジャンさんの言うことも、ごもっともです···。


ですが···




「ジャンさんが言われてることはごもっともだと思います。ですが私は強くなりたいのです。」




「フレアちゃん···」




「····。」




「なのでジャンさんに攻撃魔法を教えもらいたいのです。」




「「「「「えっ!?」」」」」




皆さん、かなり驚かれてます。


そんなに驚くことかしら?




「学校で少し教えてもらいましたが、今はひとりで勉強をしておりました。ですがやはり一人では無理です。今回の戦闘でよく分かりました。ジャンさんが言う通り、今回は運が良かっただけでしょう。ジャンさんたちとはいずれ、お別れをしなくてはなりません。」




「····」




「ですから教えて欲しいのです。今回初めて、かなりの魔力を使い倒れてしまいました。魔力の使い方、攻撃の仕方など教えください。」




私は思いっきり頭を下げた!




「私は強くなりたいのです!お母様を護りたいのです!」


声をあげ必死に言った




頭を下げた行動で背中がむちゃくちゃ痛みがありました···。


痛いー!


ちょっと下を向いた時に、顔をしかめちゃいました。




「···分かったよ···今回助けられたことには代わりがないのだから。」




私はガバッと頭を上げ




「ありがとうございます!」




急に頭を上げたので、眩暈が···




お礼を言ってそのまま枕へGO!




「「「「「フレアちゃん!」」」」」






すみません。「フェニックス」の皆さま。




私はそのまま眠りに落ちてしまった···。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






次の日




ぐっすり眠った私は、眩暈も無くなり元気になりました。


打撲傷はまだ痛みますが、それは自然に治るでしょう。




寝相は悪くないので卵も無事です。




お母様に、まだ寝てなさい!


とキツく言われたので大人しく寝てます。


ソファーを陣取ってるんでお母様に申し訳ないですわ。






私が深い眠りに入ってからのことを話してくれました。






あの後、オークの死骸を燃やしたらしい。


血の臭いを嗅いで他の魔物が来る可能性があるから。


オークの肉って食べれるけど、次の村までまだ3日かかるから、少しだけ取って後は全て燃やしたらしい。




それからすぐ出発してなるべく遠くまで離れるべく、夜通し馬車を走らせたらしい。


かなり離れたから、今休憩しているとのこと。




フェニックスの皆さん、結構怪我をしていたのに大丈夫なんでしょうか。




「お母様、ちょっとフェニックスの皆さまと会って来てもよろしいですか?」




お母様は怪訝そうな顔をして




「なぜですの?」




「昨日、途中で気を失いましたし、治癒魔法をかけてこようと思います。皆さま結構な怪我をなさってたから···」




「フレア貴女、治癒魔法が使えるの?」




お母様が驚愕して聞いてきました。




「はい。」




えっへん!実は私は治癒魔法が使えます!


たまたま、例の実験でこっそり刃物を使った時に、うっかり指を切ってしまって結構血が出てしまいました。これはヤバい!お母様たちに怒られる!と思ったんですが、気休めにその指に手をかざし




「痛いの痛いの飛んでゆけー!」




と言ったら、その傷がスーと消えて綺麗無くなりましたの!


その時の驚きと言ったら!




御姉様たちに報告しましたわ!


その時に、お母様に報告するの忘れてたみたいですわ····。






しかも治癒魔法使える人って、そんなに居ないらしいのです!


兄妹でも、アンナ御姉様と私しか使えないと聞きました。




とは言え、簡単な治癒魔法しか使えませんけど。




「···分かったわ。無理しないようにね。」




お母様の許可が出たので、起き上がり着替える。まだ背中が痛いのでお着替えをお母様に手伝ってもらいました。




ついでに私の鎖骨からの打撲傷を、お母様の目の前で治して見せた。流石に背中は無理です。




私は自分の鎖骨部分に手をかざし




「ヒール」




そうしたら、徐々に痛みもなくなり、打撲傷が綺麗に消えた。




「凄いわね···。」




お母様は、実際に目の前で見てかなり驚いております。




私は卵をストールに巻き、抱っこ紐みたいに身体に装着した。




そして馬車を降り、フェニックスの皆さんの所へ向かった。








「あれ?フレアちゃん、もう大丈夫なの?」




ケインさん···貴方の方が痛々しいですわ。眼には青アザがあり、手には包帯が巻かれている。他の方も同じような感じだ。




「大丈夫ですわ。ありがとうございます。」




「どうしたの?」




リンダさんまで····




「私、治癒魔法が使えますの。皆さまに治癒魔法を掛けようと思いまして。」




「「えっ?治癒魔法使えるの?」」




お二方、綺麗にハモってます。




「はい。まずはリンダさんから、包帯を取ってください。」




リンダさんは半信半疑で包帯を取った。




「ヒール」




手の傷、足の傷を綺麗に治していく。




「すっ!凄いよ!フレアちゃん!」




めっちゃ感動されてます。


···ちょっと照れますね。




リンダさんは綺麗に怪我が治ったので、次はケインさん。ケインさんはひどくて腕を骨折してました。




治せるかしら···




少し強めに魔力を込め




「ヒール!」




手がちょっと熱くなりました。少し時間が掛かりましたが、何とか治せました!




「すげぇ!動くわ!」




ケインさんは大喜びしてます。




「フレアちゃん!ありがとう!チュッ」




きゃっ!ケインさんに頬っぺたにチューされちゃった!




そしてケインさんは、


「フレアちゃんに何にやってんの!」


ってリンダさんに頭を殴られました。




 ケインさんに、他の人も呼んでもらって、治していった。




「フレアちゃんありがとう。」




ジャンさんたちにも、感謝されました。


ただ、また結構魔力を使ってしまったので、疲れがきました。




私はふらつきながら馬車に帰り、すぐに横になった。




もちろん卵ちゃんも一緒に布団の中へ。






魔力を使うと、すぐ疲れがくる。まずは体力作りもしないとね。




その日1日、ずっと寝て過ごした。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






明日にはどうやら村に着けると言うことだった。




あれからは何事もなく進んだ。




ジャンさんには休憩事に、攻撃魔法や魔力の溜め方、使い方を教わった。




少しずつですが、成長してると思いますわ!




馬車に乗ってる間は、本を見たり、お裁縫したりと前の通りに過してます。




卵は抱っこ紐でいつも一緒にいます。






夜になり、夕飯の支度をします。とはいっても、生ものはほとんどないので、干しパンとかですが。


明日はまともな食事ができますわ···。


食事の有り難みが分かりました。






さて、食事も終わったし、明日は早く出発して昼には村に着く予定らしいので、早く寝ないと。




馬車に帰ると、お母様がまだ帰ってませんでした。




念のため剣を持ち、お母様を探す。




すると、ちょっと離れた木の下に居ました。




「お母様···」




声を掛けようとしたらもうひとり居ました。




その人はジャンさんでした。




私はすぐ側の木に隠れました。




「ミチルダさん···こんなところに呼び出してすみません。」


「···いえ。どうかなさったのですか?」




「···あぁ!くそ!俺は遠回しとか、言葉を選んでなんてできねーや!」




ジャンさんは頭を掻きながら言ってます。




「はっきり言います!ミチルダさん、貴女が好きです!」




えー!?何ですってー!

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