25話 旅ってつらいですわ!
ベッタングルブを発ってから2日経ちました。
まずは同行者ですが、護衛の人が五人と商人の人が五人です。商人の人が馬を轢いてるから、この人数だそうです。
護衛の人は冒険者だそうで、男三人、女二人のグループです。リーダーがジャンさんと言う方だそうです。あとはケインさん、セイルさん。女の人はリンダ、サラさんだそうです。パーティー名は「フェニックス」。ランクはCだそうです。
初めて知りましたが、パーティーにも個人にもランクがあって、Sが一番上で、そこからA、B、C、D、E、Fとあるそうです。Fが一番下っぱみたいです。
「フェニックス」の年齢は少しばらつきがあって、聞いたら同じ村の出身で幼なじみなのだそう。ジャンさんとセイルさんが27歳、ケインさんは24歳、リンダさんは22歳、サラさんは18歳だそう。
個人のランクはジャンさんがB、セイルさんがC、ケインさんとリンダさんはD、リンダさんはDに成り立てですって!サラさんEランクだそうです。
皆さん仲が良さそうですわ。
マリッコ商会の人は初老の方がガンズさん、ラングラーさん、オデスさん、ヤナカさん、一番若そうなのがティラズさん。
皆優しそうな人です。
道中はお母様と私は荷台の中で、お裁縫してます。
マリア伯爵婦人が生地などを用意してくれておりました。
道中は暇だろうから、商品を作って欲しいと言われたようです。
それを、行った先で売ればいいと···。
多分ですが、生地が餞別の品物のようです。
お母様は今はワンピースを作ってます。
その前にお母様にお願いして、動き易いズボンを縫って貰いました。あとはシャツですわ。万が一の時に、私も戦闘に入らないといけないと思いますから。
···私が役に立つかは分かりませんが。
今のところは何もなしに、旅は進んでます。
私の方は···まだワンピースとかは作れないのでハンカチを作り、刺繍してます。
もしくは魔法魔術の勉強です。今ちょうど学校で習ってました。攻撃魔法魔術はまだですが、教科書には載ってますし、お父様の書斎から何冊か拝借しました。
自力で頑張らないと。これからは危険が伴うはずだから。1日の半分は攻撃魔法の勉強で、半分はハンカチ作りをしていますわ。
馬車が止まりました。
ドアが開き「ちょっと休憩するよ。」
と声がかかりました。
お母様と私は、外の空気を吸いに馬車から降りた。
「気持ちいいですー!」
私はおもいっきり背伸びをした。
お母様は道にあった大きい石に座って、お水を飲んでました。
「フレアちゃん!こっちへおいでよ!」
サラさんが手招きして呼んでます。
「サラさん、大丈夫ですか?」
護衛の皆さんは、三人は外を警戒しながらで歩いています。交代でやるそう。
今回はジャンさん、ケインさん、サラさんの三人でした。
小窓から、コントみたいな会話が聞こえました。
「大丈夫だよ!フレアちゃんは?」
···私はお尻が痛いです。ずっと座ってるのもあるけど、馬車の振動が凄いです。
旅って意外につらいですわ!
「私はちょっとお尻が···」
サラさんはプッと笑い
「だよね!ずっと座ってるってキツイよね!適度に運動しなくちゃ!」
ごもっともですわ。
「ところでさ、フレアちゃん貴族だよね?」
「え?」
「何かミチルダさんの言葉使いといい、違うもん。」
なるほど。確かに違いますわね。でも直しようがないですわ。
「二人しかいないっということは、貧乏貴族で、とうとう没落してしまって一家離散したとか!?」
サラさんは目をキラキラさせながら言いました。
「こら!サラ!」
リンダさんに注意されちゃいました。
サラさん!半分合って、半分違いますわ!
貧乏貴族で没落はしてませんわ!今も強大な力を持つ公爵家出身ですわ!
一家離散は合ってますわね···。
私は
「元貴族は合ってますわ。」
とだけ答えた。
「聞くんだけど、ミチルダさんって独身よね?」
リンダさんに聞かれる。
「そうですわ。」
「ミチルダさんて綺麗だよね···」
え?お母様が綺麗?お母様も地味顔ですよ!
「お母様も私も地味顔なので、綺麗とは違うと思いますわ。」
私がそう言うと、リンダさんは頭を横に振り
「顔じゃないわ。内から出るオーラって言うのかしら。身体も魅力的だし。うらやましいわ。」
オーラですか···私にはちょっと分かりませんが、身体は魅力的なのは確かですわ。
「それに···ジャンが夢中になってるわ。」
リンダさんはお母様がいる方へ視線を向ける。
そこには、お母様の横にジャンさんと、セイルさんが居ました。
お母様と楽しそうにお話をしてます。
でも二人とも視線は、
チラチラとお母様の胸にいってますが···。
単にお母様のおっぱいを見たいだけな気がしますわ。
「夢中は夢中でも違う気がしますわよ?」
「まあまあ、フレアちゃん。気にしないで。リンダはジャンが好きだからさ!魅力的なミチルダさんに獲られるんじゃないかって心配してるだけだから!」
サラさんはそう言った途端に、すくッと立ち上がり走り出した。
「サラ!」
リンダさんは顔を真っ赤にして、サラさんを追いかけてます。
リンダさん···ジャンさんが好きなんだー!お似合いですわ♪
「そろそろ皆さん動きましょう!」
マリッコ商人のラングラーさんの言葉で、それぞれ動きだした。
もう出発って時に、
「向こうから何か来るぞ!」
ティラズさんが叫ぶ。
ティラズさんが指す方向を見ると、砂煙が見える。
「オークだ!オークの集団だ!」
セイルさんが叫ぶ。
オークって確か、豚みたいな顔をしている魔物でしたわね。
「セイル!ケイン!リンダ!サラ!それぞれの配置につけ!ミチルダさんとフレアちゃんたちは早く馬車の中へ!」
ジャンさんが指示する。
お母様と私はすぐ馬車の中へ乗る。マリッコ商会の人たちもそれぞれに乗った。
ドッ!ドッ!ドッ!
と地響きをさせながらオークの集団がやってくる。
「数が多いぞ!20匹はいる!」
ジャンが叫ぶ。
「やるしかねぇー!馬車に近づけさせるな!」
セイルが叫びながらオークへ向かっていった。
「ブモー!」
オークの雄叫びが聞こえた。
カキンッ!カキンッ!
武器と武器がぶつかり合う音がする。
「うぉりゃー!」
ドスッ!
私は小窓から様子を見る。
数が多いからかマリッコ商会の商人、ヤナカさんティラズさんが参戦している。この二人は元々騎士を目指してたそうで、剣術もなかなかだそう。
だがオークの数が多すぎるようだ。皆頑張っている。確実に倒してはいるけど、なかなか減らない。
そしてとうとう馬車まできた。
ヤナカさんもティラズさんも馬を一生懸命守っていた。
荷台にも来て、ガタガタと揺らす。
「「きゃー!」」
荷物もぐちゃぐちゃになり私たちも左右に揺れる。ソファーに
一生懸命しがみついていた。
····やるしかない····
私は揺れる荷台から鞄を探し、剣を取り出した。
「フレア!何に考えてるの!止めなさい!」
「お母様はここで待っていてください!」
私は扉を開け勢いよく飛び出た。そしてすぐ扉を閉める。
飛び出た先には体長二メートルはあるオークが目の前にいた。
足がすくむ。
『怖い!』
恐怖が私を襲う。
ダメよ!フレア!ここで怯んだら!
自分に言い聞かせる。
···これは豚····ただの豚
···私はできる···できる···オークを倒せる!
オークが私に向かってきた!
私は剣を構え
「キェーイ!」
気合いの雄叫びをあげながらオークへ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます