24話 新たな旅立ち





「お母様、これからどこに行きますの?」




お母様は行き先を決めてらっしゃるのかしら。




「これからベッタングルブの街へ行って、マリアの所へ行くつもりなの。それからまたすぐ移動するわ。」




ベッタングルブの街は王都の街の隣にあります。マリア伯爵婦人の旦那様の領地です。




「フレア、私たちに家名を名乗ることはできません。私たちはただの、ミチルダとフレアになります。」




「···はい。解っております。お母様。」




もう、フレア·フィン·アンドリエを名乗れないのですね···寂しいですわ···




私は思わず、お母様の手を強く握ってしまいました。お母様はそれをそっと両手で包んでくれました。






私は初めて、民衆に混じって馬車に乗りました。前世で云うならバスみたいなものかしら。


大きめの馬車で三頭の馬が引いている。中は15~20人くらい乗れる感じです。




色んな人が乗ってますね。


比較的男の人が多い気がします。




男性の目線は、お母様のおっぱいに目がいっています。お爺さんまで···。


斜め前の男性は、後ろを振り向いてまでガン見してますわ···。




仕方ないと言えば仕方ないですが···。


馬車が揺れる度、おっぱいがユサンユサンと揺れてます。ユサユサではないですよ!




···お母様、私は何があろうとお守りしますわ!




私は荷物を手前に寄せて、チャックを少し開け、いつでも剣を取り出せるように構えた。




やりますとも!!




警戒しながらベッタングルブの街へと向かった。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






警戒していましが、無事に着きました!




私たちは馬車を降り、歩いてマリア伯爵婦人のお店を目指ました。




私はベッタングルブの街を初めて歩きました。




王城よりは人は少ないですが、呼び込みとかあって活気がある。




 キョロキョロしながら歩いていたら




「フレア、キョロキョロしてはダメよ。転ぶわよ。」




お母様に注意されちゃいました。




そうこうしている内に、マリア伯爵婦人のお店に着きました。




マリア伯爵婦人は店のドアの前で待ってました。




何故、私たちが来るのを知っているのでしょう?




私たちの姿を確認したら、マリア伯爵婦人は駆け寄ってきて、お母様を抱き締めた。




「ミチルダ!本当にダン様と····」




涙を流している。




「ええ。昨日手紙で書いた通りよ。」




「そう····。」




手紙?昨日手紙書いたっていつ書いたのでしょう?




「まあ、フレア。貴女はミチルダに?」




「マリア伯爵婦人、ご機嫌よう。はい。私はお母様に付いて行きます。」




「···そう···良かったわ。ミチルダ一人で、家を出ると書いてあったから···。」




マリア伯爵婦人は、また目を潤わせる。




「マリア、お願いしてたことは大丈夫かしら?」




「···ええ。待たしてあるわ···ミチルダ、本当に行くのつもりなの?」




「···もちろんよ···。」




「分かったわ。こっちよ。」




私たちは、マリア伯爵婦人にお店の裏の方に連れて行かれた。




そこには、また大きな馬車が二台あった。




「フレア、これに乗るのよ。」




「お母様、この馬車は?」




そこへマリア伯爵婦人が説明してくれた。






「この馬車は売る商品を乗せている、荷物馬車なの。これから取引先に順々に届けるとこなのよ。」




えっ!荷台に乗るのですかー!?




「マリアありがとう。」




「別にいいのよ。この馬車はヨークテイルの街に行くのよ。いいの?」




「ええ。大丈夫よ。」




「ヨークテイルの街に住むの?」




「いいえ。もっと遠くよ···。」




「そう···どこ行くか、決めてるの?」




「決めてるわ···。」




「···今は聞かないわ···落ち着いたら連絡ちょうだいよ!絶対よ!」




「勿論よ。」




「落ち着いたら、グリちゃんでお手紙ちょうたね。ちゃんと笛は持ってて?」




お母様は頷いて、鞄から小さな袋を出し、小さな笛をだした。




マリア伯爵婦人はそれを確認し、うんうんと頭を上下に動かす。




ところで、




「グリちゃんって何ですか?」




「ああ、フレアは知らないわね。私のペットなの。」




そう言うとマリア伯爵婦人は、お母様と同じ笛を出し、吹いた。




でも音はしませんわ。




少しして、空から何か飛んできます。




バサッバサッバサッ




近づくに連れて大きい鳥さんがきます。




そして私の前をよぎり、マリア伯爵婦人の腕に止まった。




デカイー!すごく大きい鳥さんです!


一メートルはあります!マリア伯爵婦人は腕は重くないのかしら。




何か鷲に似てます!


とても賢そう!




「これはグリピーツフォンって云う魔物なの。」




「まっ魔物!?」




よく見たら、嘴も爪もかなり鋭い。だが、その爪は腕にくい込まないように止まっている。




「魔物だけど、グリちゃんは卵から育てから大丈夫よ!可愛いでしょ!とても賢いの!」




確かに、くりっとしたつぶら目が可愛い。顔と首は白くて、他は羽までエメラルドグリーンで綺麗だった。




「卵からって、落ちてたんですの?」




「そうなのよ。私が17歳くらいの時に、ちょっと主人デートで森へ散歩に行ったら、木の下に落ちてたの。何の卵か分からなかったけど、まだ温かい状態だったから、ストールに繰るんで持って帰って育てたの。」




そんなに簡単に持って帰ってはいけませんわ!もっと危ない魔物だったら···




マリア伯爵婦人はめっちゃ笑顔です···。


全然何も考えずに持って帰ったんですね···。




「ねぇ、グリちゃん!」




「クルルー」




可愛い鳴き声ですわ。




「主人や私はもちろん、小さい時から見ているミチルダやフローラも慣れてるわ。二人はこの笛を渡して、手紙のやり取りをしてるのよ!」




魔物を伝書鳩みたいに扱ってますわ···。




なるほど。昨日の手紙のやり取りは、このグリちゃんでしたのですね···でもいつやったのでしょうか。




でもとてもなついてますわ。




グリちゃんは、マリア伯爵婦人の顔にスリスリしてます。


可愛いー!


····。欲しいですわ!何処かに卵落ちてないかしら!




「手紙のやり取りをしたい時に鳴らしてね。フレアも落ち着いたら、渡したい人に手紙を書いて、このグリちゃんに渡してね。私からちゃんと責任を持って手紙を届けるから!」




「はい!」




「ではそろそろ行きましょう。」




お母様に言われて馬車に乗る。


その際に、マリア伯爵婦人とお母様は固く抱き合い、マリア伯爵婦人は私には頬っぺたにキスをくれた。




馬車の荷台には、一杯トルソーがありドレスを着せている。鞄や小物まであった。小窓があり、そこにはソファーが置いてあった。お母様はそこに荷物を置き、また馬車から降りる。




馬車は二台。もう一台は食料品や護衛の人、マリッコ商会の人が数人乗っている。


あっ!マリッコ商会とはマリア伯爵婦人が立ち上げた商会ですわ。


マリア伯爵婦人はやり手なのです!






私たち二人は、護衛の人、商人の人に紹介された。




「ミチルダと申します。この子はわたくしの娘のフレアです。ヨークテイルまでよろしくお願いいたします。」


「よろしくお願いいたします。」


二人で頭を下げる。




「こちらこそよろしく。」




今度は皆と握手した。




それぞれに、配置に行き、私たちも乗った。




出発です!






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