19話 ローランVSムーフォンス王子+リンクス王子


「フレア!?」




ロ、ローラン様!なんて不味いタイミングに来たのですかー!




「ローラン様!ご機嫌よう!もう会議は終わりまして?」




私はムーフォンス王子を押し退けようとしたが、がっちり肩を掴まれてて退けれませんでした。




それを見てローラン様の顔が険しくなり




「ムーフォンス殿下、私の婚約者に何をなされてるんですか。」




 ムーフォンス王子の手を払い、私の後から被さるように抱き寄せた。




「ローランは心が狭いな。ちょっと触ってただけだよ。」




ムーフォンス王子はニッコリして答える。嘘を平気でついた。




「まあ、口説いてはいたけどね。」




 余計な一言言ってます!




ローラン様は抱き締めている腕に力を込めた。




「ムーフォンス殿下、先ほども申しましたが、フレアは私と婚約してます。口説くのは辞めてください。」




「仮でしょ?まだ正式に婚約者になってる訳じゃないでしょ?」




ローラン様はムッとした顔をした。




「仮でも婚約者は婚約者です!」




「まあ、そうだけどね···でも、正式な婚約者ではないのだから、絶対ローランと結婚するって決まってる訳じゃないってことだよね?」




「······。」




ローランはムーフォンス王子を睨む。




「だから、正式な婚約者になるまでは、こちらにも口説く権利はあると思うけど。」




凄い理由ですわ···。




「·······。」


ローラン様は無言のままです···。




そしてムーフォンス王子様は真剣な顔になり




「ローラン、私は君からフレアを奪うつもりだから。遠慮しないよ。」




ムーフォンス王子様からのいきなりの宣戦布告です!




「私もフレアを奪われるつもりはありません!」




おおっ!ローラン様が誓言してくれましたわ!




もちろん私も奪われるつもりはございませんわ!




お互いの火花が散ってるのが視えるようですわ···




すると




「僕も参戦します。」




第三者の声が!皆が一斉に声が聞こえた方向を見ると、そこには第三王子のリンクス王子様がいた!




何でー!




「リンクス、なぜお前がここにいる。」


「ムーフォンスお兄様、僕もフレアに会いにきました。」




あら、リンクス王子様に呼び捨てにされちゃったわ。




その台詞にムーフォンス王子様とローラン様は顔をしかめる。




「お前はフレア嬢を、諦めたんじゃなかったのか?」




「断られて一度は諦めましたが、今の話を聞いて気が変わりました。」




「「気が変わった!?」」




ムーフォンス王子様とローラン様がハモりましたわ!




「ええ。諦めたのはフレアに婚約者が出来たからと思ってましたが、仮の婚約者なんですよね···ムーフォンスお兄様の言う通りだと思いました。それなら、僕にも口説く権利があると思いますので。」




その言葉に私たち三人とも驚愕をした。




「それにムーフォンスお兄様も断られてます。スタート地点は一緒ですよね。僕も遠慮なしにいかせて貰います。」




リンクス王子様まで宣戦布告してきました····。




王子お二人は、地味顔の私のどこが気に入ったのでしょうか···。




私は、争わられるほどの人物ではありませんわ····。




「フレアは誰にも渡さない!」




ローラン様の抱き締めてる腕がまた強くなりました。




···痛いです。ローラン様。




今度はリンクス王子も加わり火花が散ってます。




最初に離脱したのはリンクス王子様でした。




そして私の方へ来て、右手を取りキスをした。




「!!!」




「フレア、僕は君とほとんどお話をしたことがない。君とお話をする機会が欲しい。」




リンクス王子様は真剣な眼差しで私をじっと見つめた。




·····どう答えればいいの?


返答に悩んでいると、




「君のことをもっと知りたいんだ。····ではまた。」




リンクス王子は、もう一度私の右手にキスをし、踵を返し去っていく。




そして、タイミングを見計らったかのように


「ムーフォンス殿下、そろそろお時間です。執務室にお戻り下さい。」




シャベールお兄様がムーフォンス王子様を促す。




「····わかった。」




ムーフォンス王子様も私の側に来て、リンクス王子のキスを上書きするかのように右手にキス···ではなく舐めた!




ぎゃっ!




思わず手を引っ込めた。




その反応を見てニヤリとし




「ではフレア嬢、また会いましょう。」




そう言って、シャベールお兄様のいる騎士団の方へ行き去っていきました。




残されたのはローラン様と私。




「·····。」




ローラン様は無言です···怖いです。




「ローラン様、取り敢えず着替えてきますわ。」




この空気に耐えられないー!




「ああ····」




私は急いで更衣室に向かい、軽く汗を流し、素早く着替えた。




きっと、さっきの出来事は、シャベールお兄様の騎士団の方たちの噂の的になってますわね····。




しかしリンクス王子様まで···学校に行くのが憂鬱になった。








帰宅中の馬車の中




ローラン様は私の隣に座り、黙ってずっと私の手を握っています。


私も何をしゃべっていいのか解らず、無言のまま時間が過ぎて行く。




ローラン様は握ってた手を解き、私を抱き締めて、声を震わせながら、


「フレア、君を誰にも渡したくない。だけど来週にはまた辺境に行かなければならない。不安だよ··」




····ローラン様···。




「約束してくれ!誘われても、あの二人と二人っきりにはならないと!」




「もちろんですわ。」




「ありがとう···。今度帰ってきたら教会を見に行ってみよう。」




気が早いですわ。まだローラン様と結婚すると決まってませんよ?




でも····


クスッと私は笑い




「いいですわね。」




彼が顔を近づけてきて、甘いキスを交わした。




····ですがその約束は、ある出来事で果たせなくなりました···。




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