18話 ムーフォンス王子再び





 デートから以降も、ローラン様は毎日私に会いにきてくれました。




こんなに毎日来て大丈夫なのかしら?


と、思ってましが、本日は王城の方で会議があるらしく家には来られません。


ですが、今日は騎士練習場に行く日なので帰りは、帰れたら一緒に帰ろうってことになりました。








 「とぉぁぁぁ!」




 カキン!  カキン!




騎士練習場に来ました。ローラン様は会議が終わったら、騎士練習場に来ると言ってましたが、まだ来てないようです。


 自分の練習場に行きながら、キョロキョロとローラン様を探す。




 「君、ちゃんと前を見て歩かないと危ないよ。」




 あら、注意されちゃった。




 「すみません。」




 と、後ろを振り向いたらなんと、カールがいた。




 !!!




 「君、確かどこかの貴族様だよね?何で騎士練習場なんて所にいるのさ。」




 ああ、ご最もですわね。




 「私は剣術を習いにきてますのよ。」




 「はあ?何で?貴族様なら護って貰う方だろう?しかも女の子じゃん。必要ないんじゃないの?」




 何か刺がある言い方しますわね。




 「それもそうですわね。でも、いつも周りに護衛がいるとは限りませんわ。いつ、どんな時に何があるか分かりません。その時の為に、自分の身は自分で護ることができるようにならないといけないと思い、習ってますの。」






 そう言うとカールは嫌な顔して




 「····あんた跳ねっ返りなんだな。まあいいさ。ともかく邪魔だけはしてくれるなよ。」




 プイっとして、練習場へ向かった。




 ·····何か思ってた方と違いますわ。キャロルの話では女性に優しいと聞きましたが。


 言葉使いも爵位持ちに、使う使い方ではありませんわ。


 実はツンデレキャラの方だったんでしょうか。


私の中で、カールの評価が下がった瞬間だった。






 「やぁー!」




 キンッ! キンッ!




 「むっ!フレア様、今日はいつもより動きがいいですな!」




 ええ!ちょっとムカついておりますので!!




 八つ当たり気味で剣打ちしました。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 暫く、憂さ晴らしをするために剣を打ちまくりました。




 「ふう。」




 今は少休憩中。若干気が晴れましたわ。




 ローラン様はまだかしら。




 騎士練習場を向くと、何かざわざわしてます。




 「うん?」




 何か人だかりがこちらに向かってきます。しかもシャベールお兄様が先頭で歩いてます。




···と、いうことは真ん中にいらっしゃるのはムーフォンス王子様!




 シャベールお兄様はムーフォンス王子様の護衛と、第一魔法魔術団の総隊長を兼ねて務めておられます!




 ヤバい!どっか隠れる所ないかしら。


 あっ!私専用の更衣室があるじゃない!




 急いで立ち更衣室に向かおうとしたら




 「フレア嬢!」




 ムーフォンス王子に呼ばれたが、聞こえない振りしてそのまま行こうとすると




 「フレア!待ちなさい!」




 シャベールお兄様に呼ばれました···。




 トホホホ···




 私は覚悟を決め振り返る。




 「あら、シャベールお兄様、ご機嫌よう。」




 シャベールお兄様に言ったつもりが、すぐ後ろにいたのはムーフォンス王子様てした。




 びっくりしたー!




 「やあ!フレア嬢!さっき呼んだんだけど。」




 「ムーフォンス王子様、すみません。気づかなくて···」




 「···そう?」




 やはり無視したの気づいてらっしゃいますね。




 「それより、こんな所に何か用でもございますの?」




 「ああ。君に会いに来た。」




 ムーフォンス王子はまぶしい笑顔で答え、ベンチに座るように促してきた。


 座る際にシャベールお兄様の顔を見ると、「諦めろ」みたいな顔してました。




シャベールお兄様!貴方はローラン様のお友達でしょ!助けるべきだと思いますわ!


···実際は無理でしょうが···




「私に何か用でしょうか?」




「つれないね。用はないけど、用がなくちゃ会いに来てはいけないのかな?」


「····そんなことはありませんが···」




「そろそろ私の元へ来ても良くないかい?」




いや!良くないです!




「ムーフォンス王子様、私は側室になりません!と、何度もお断りしておりますわ!」




「フレア、何度も言ってるけど諦めないって言ってるでしょ?」 




はあ。いつもこれです。何度も何度も断っても、何度も何度も懲りずに口説いてきます。




「私には婚約者がいますので諦めてください!」




私の言葉を無視して、ムーフォンス王子は私の手を取りキスをする。




私の手は汗まみれで汚いのに!




「ムーフォンス王子様!お止め下さい!私、汗を掻いて汚いですわ!」




 するとムーフォンス王子はクスッと笑い




「君が汚いなんて思わないよ。」




そう言い、今度は頭にキスをした。




いやー!だから、汗掻いて臭いんだってば!




「それに、婚約者って言っても仮でしょ?全然問題ないね。」




いや!問題あるでしょ!それに!




「ムーフォンス王子様は先日、リゾレット様と婚約したばかりではありませんか!」




そっちこそ婚約者がいるじゃありませんか!




「だって、フレアが正妃になってくれないから。」




正妃なんてごめんですわ!側室もですが!




「大丈夫だよ。私が跡を継いで頂点に立ったときは、側室から正妃にするからね。」




いやいや、大丈夫って?なんてこと考えてるんですか!?




「そんなこと無理ですわ!」




「無理じゃないよ。私が規律を変えるから。」




こらこら!勝手に規律を変えてはいけません!




「リゾレット様はどうするですか?」




「ああ、彼女ね。彼女にはちゃんと言ってるよ。私は国王になったらフレアを正妃にするって。君はそれまでの仮の正妃で、フレアが正妃になったら側室になるからってね。」




····何か、既に私がムーフォンス王子様の側室になってる前提で話しが進んでいますね···。しかも夢みたいなお話ですね。




「リゾレット様はご承諾されたのですか?」




「もちろんだよ!でないと結婚しないよ。だからフレア、早く私の元へおいで。出来れば彼女より早く王子を産んでくれたら、正妃の話も進め易くなるから。」




ムーフォンス王子様···ど偉いこと考えてますね···。その夢は実現はしませんわ。きっと。




リゾレット様も何でこんなこと承諾されたのか···。




リゾレット様は確かムーフォンス王子様の一つ上の19歳だったと思います。


 私たちのお父様同士がご学友で、カンチス王国との戦いで、お父様と一緒に戦った英雄の一人です。


 もちろん会ったことがあります。お父様のサンブリエ大公爵候は、凄くおおらかな人でよく色んなお話をしてくれました。


リゾレット様も何回か会ったことあります。儚げで綺麗な方だったと思います。物静かな方でした。うちの御姉様方に圧倒されたとかで、お話が出来なかっただけかもしれませんが。




 「だからフレア、安心してお嫁においで。」




 いや、いかないから。




ムーフォンス王子は私の両肩に手を置き、おでこにキスを落とす。


そして耳元で


 「フレア、君が欲しい···」




と呟き、私の首筋に軽くキスをし噛み付いて吸い付く。




「いた!」




 やだ!キスマーク附けてる!




ムーフォンス王子の肩をドンドン叩いたが、びくともしない。




 「フレア!?」




 呼ばれて振り向いたら、ローラン様がいた。

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