20話 女って怖いです!
今日は誘われてた、ローラン様のお友達のアルフレッド様のパーティーの日です!
パーティーと言えば、昨日みたいにムーフォンス王子様が絡んでくるので、ローラン様がいないときは、夜会などは行かないようにしていたのに···。
リンクス王子様も加わって、昨日は厄日だったのかしら。
昨日の出来事を反芻してる場合じゃございませんわ。
ローラン様が向かえに来てしまいますわ!
私はドレス選びから始めた。お母様や御姉様方曰く、私には淡い色合いが似合うらしい。原色系は似合わないと。···まあ、顔が淡泊だから原色系は似合わないわね。
そうだわ。先日、お母様が私に似合いそうって、買ってくれたエメラルドグリーンのドレスにしましょう!
そのドレスは首を隠すことができるから····。
昨日ムーフォンス王子様に、鎖骨にキスマークを付けられてしまったので、隠す必要があった。
ローラン様は、昨日の出来事のショックでか、最後まで気づかなかったから良かったけど。
メイドを呼びドレスを着せてもらい、髪の毛のセットをしてもらう。本日はドレスのイメージに合わせたポニーテール。毛先は軽くパーマみたいにクルクル縦ロール。ふわふわしてて可愛い♪地味顔にも似合うわ。
アクセサリーは、ローラン様から貰った、ププレ草のデザインのイヤリングとネックレス。
ローラン様と一緒に、夜会やパーティーなど行くときは、ほぼ必ず着けるようにしている。
ローラン様に、着けている姿を見せるといつも喜んでくれるから。
「フレアー!ローランがお迎えにきましたよ!」
お母様から呼ばれる。
「はーい!今行きます!」
私は元気良く返事をした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ローラン様と馬車に乗り、街から少し離れたアルフレッド様のお屋敷に行った。
アルフレッド様はギブソン伯爵の嫡子。既に結婚されてて、先月、女のお子様が誕生したそう。めでたいですわ。本日は、そのお子様の誕生祝いパーティーらしいのです。
お子様のお誕生祝いのパーティーなので、何かプレゼントを思い、お母様と相談して赤ちゃん用の服をあげることにしました。お母様に縫い物を習いながら、自分で縫いましたわ!
大変でしたが、達成感ありました!若干縫い目がガタガタなのは許してください····。
ローラン様は既に、産まれた時にすぐ誕生石の原石を贈ったそう。そうしたらアルフレッド様が好きなように加工して、アクセサリーが作れるだろうからって!
そこまで考えて贈るなんて凄いです!
「さあ、フレア着いたよ。」
先に馬車から降りたローラン様は私に手を差し伸べてました。
私はその手を取り降りる。降りた途端に薔薇の香りが漂う。
相変わらず凄い庭園ですわ。
季節のお花を植えているのか、庭にはいつも花でいっぱいに埋め尽くされてるそう。
アルフレッド様の奥様、シャーリー様のご趣味のようで、いつも綺麗に手入れされてると聞きました。特に薔薇が好きで、年中見たい!ってことで温室まで作って育てるそう。
今日は薔薇の匂いを出す為なのか、温室のドアが開けてあった。見事な立派な薔薇が見えました。
お屋敷に入り、パーティー会場へ案内された。
既に結構な人数が集まっていた。
「やあ!ローラン、よくきたな!フレア様も来てくださってありがとうございます。」
アルフレッド様が笑顔で迎えてくれた。
アルフレッド様はハンサム···とは云えないですが、いつもニコニコしてて人好きする方です。だから彼の周りには沢山のお友達がいらっしゃるみたいです。
「ローラン、フレア様、暫くゆっくり食事でもしてください。今日は娘の誕生祝いなので、料理人が腕によりをかけて作りました。」
彼は嬉しいそうに言う。
「アルフレッド様、ありがとうございます。こちらなんですが、細やかながらお祝いをお持ちしました。私が縫いましたの。」
アルフレッド様は、最初はびっくりしてましたが、すぐにっこりし
「ありがとうございます。開けてもいいですか?」
「どうぞ。」
ちょっと恥ずかしいですけど。
中身を見て
「この赤ちゃん用の服は、フレア様が作られたのですか?」
「ええ。お母様に習いながら縫いましたの。お母様のように、上手く出来なくて申し訳ございませんが。普段着になら使っていただけるかと思って。」
「ありがとうございます。シャーリーが喜びます。」
彼はそう言い、メイドにシャーリー様に届けるように頼んでました。
「次の人に挨拶しないといけないので、ローラン、フレア様失礼します。」
アルフレッド様は、忙しそうに次の方へ挨拶するため向かった。
「じゃあ、私たちも向こうへ行こうか。」
ローラン様は私の肩を抱き寄せ、人だかりのいる方へ向かった。
「よう!ローラン久しぶり!」
「おう!ローランきたか。」
ローラン様にいろんな人が声を掛けてきます。
その中には婚約者や兄弟、恋人、奥様とか連れてきていた。
「ローラン様、お久しぶりですわ。お元気でして?」
····もちろん中には女性のご学友がいらっしゃいますわ。
ローラン様に声を掛けてきた女性は必ず、私を睨んできます····。
男性の学友は私にもお声を掛けてくださいますが、女性には無視されてます。
前回のことを思い出します。
前回のパーティーに参加した時も、女性には同じような反応をされました。
あの時は今のように、ローラン様はお友達に囲まれて楽しそうにされてました。お久しぶりに会われるので積もるお話もあるだろうと、邪魔をしてはいけないと思い、ローラン様から離れました。
私は他の女性の方々とお話しようと、女性が集まってる所へいきました。
ほとんど年上ばかりで、楽しそうにお話なされててちょっとビビりましたが、思い切って話かけました。
「ご機嫌よう。」
「·······。」
会話はピタッと止まりましたが、挨拶が返ってきません。
会話で聞こえなかったのかしら···
そう思い、もう一度声をかけた。
「ご機嫌よう。」
今度はその場を皆が離れ、違う場所に移動した。
····無視?····
その場を去ろうとする一人に声を掛けるが
「あのぉ····」
その方も私の言葉を無視し、スタスタと歩く。
えっ?本当に無視されてる?
驚いて皆が去って方を見たら
その女性たちは私を見て、コソコソとお話したり、クスクス笑ってたりしてました。
·····ガン無視されました····。
これでも公爵家の者なんですが···。
私は暫くの間は、ポツンと立ち竦んでましたわ。
ずっとその場に居るわけに行かないので、料理を食べようとテーブルに移動したら、見事に女性たちからは避けられましたわ。
腹は立ちますが、ローラン様の人気から考えたら、彼女たちはやっとローラン様と会えたのに、何で邪魔者がいるのよ!ってな感じでしょう。
私は元気なく、ちびちびと食事をしたが味が分からなかった。
すると、私一人と気づいた方が話掛けてきてくれて、ちょっと気分が浮上しましたわ。
それを見たローラン様が、焼きもちを焼き、すぐこちらへ来たので、それからは男性のお友達に囲まれて、紹介や学生時代のお話をしたりしたので、寂しい思いはしなくて良かったですわ。
女性のキツい視線はありましたが···。
と、云うわけでいい思いをしてませんの。
ですが、今回は赤ちゃんの誕生祝いのパーティーです!無視されても、赤ちゃんで癒して貰いますわ!
ローラン様は、ワイワイと周りの方とお話が盛り上がってます。
さて、私は料理でも堪能させていただきましょう!
ローラン様に、声をかけようとしたら(前回は黙って離れたので、後で注意されたから)
「ローラン、お久しぶりですわ。」
ローラン!?呼び捨てにしてる!
後ろを振り向くと、綺麗でとてもグラマーな御姉様が立っていた。淡いブルー色の髪の毛をアップにし、身体のラインが分かるセクシーなドレスを身に纏っている。
極めつけは、ぷっくりと肉厚のある唇の左下にほくろがあり、色気を醸し出していた。
「エメルダ····」
ローラン様も呼び捨てにしてるわ···。
と、云うことは元恋人ってところでしょうか。
「ローラン、逢いたかったわ!」
そう言いエメルダは、ローラン様に抱きつき、肉厚のある唇でぶちゅっとキスをした。
チュッじゃないよ!ぶちゅっとだよ!
私はそれを見て呆気に取られた。周りも呆然と見ていた。
「止めろ!エメルダ!」
ローラン様はすぐ様、彼女の抱擁を溶き離れる。
「あら···逢えなくて寂しかったのに、つれないのね。」
その言い方、引っ掛かりますわ!
ローラン様は小さい声で
「君とは既に終わってる」
その小さい声では彼女には聞こえてないと思いますわ!
ローラン様は私を抱き寄せ
「エメルダ、この人が前言っていた婚約者のフレアだ。」
「·····。」
エメルダは私をじっと見つめた。
それから、フンと鼻を鳴らし
「あらそう。」
プイっと横に向き、その後笑顔でローランにもたれ掛かった。
私がすぐ側にいますけど!
こめかみがピクピクします。
すると、お友達の一人が
「エメルダ嬢!あっちに美味しいケーキがあったぞ!行こう!」
気を使ってくれました。
「いやよ」
とか叫んでましたが、
「まあまあ、そう言わずに」
エメルダが嫌がっているのをお構い無しに、複数のお友達がエメルダをズルズルと連れて行ってくれました。
「·····」
「その···すまない。」
ローラン様はしゅんとして、頭を下げる。
「···ローラン様、口紅が付いてますわ」
私はハンカチを出しローラン様の唇を拭いた。
ハンカチには、取れた口紅がベッタリ付いていた。
どれだけ口紅を付けてるの···。
「はい。落ちましたわ。」
「···ありがとう。」
周りはまだシーンとしていたが、バーンとドアが開く音が響いた。
「皆様!お待たせ!我が家の新しい家族だ!」
アルフレッド様の声で、皆一斉に我に返り、拍手を贈った。
アルフレッド様が先に入り、後に奥様のシャーリー様が赤ちゃんを抱っこして入ってきた。
一段高い壇上に上がり
「我が家の新しい家族になった娘のイーリアだ!皆よろしく頼む!」
皆一斉に大きい拍手をする。
きゃー!赤ちゃんだー!早く見たいですわ!
皆、一目赤ちゃんを見ようとアルフレッド夫妻の方へ行く。
アルフレッド様は周りを見て
「まずはローランと、フレア様に抱っこしてもらおう。」
名指しで呼んでくれましたわ!
ローラン様と目を合わし、二人してアルフレッド夫妻の所へ行った。
「これがイーリアです。」
シャーリー様が赤ちゃんの顔を見えるようにしてくれた。
目を瞑ってますが、白い肌で頬っぺたはぷよぷよスベスベしてて、とても可愛らしいですわ!パッと見はシャーリー様に似てるような気がします。
シャーリー様は
「抱っこしてあげてください。」
だっ、大丈夫かな····
シャーリー様は、はいっと赤ちゃんを差し出してくる。
私は赤ちゃんの抱っこの仕方をレクチャーしてもらい、恐る恐る抱っこした。
落とさないようにしなくちゃ!
「可愛いー!」
しかも軽い!天使だわ!
赤ちゃんからはミルクの匂いがした。
次はローラン様が抱っこした。
···凄く様になってますわ!
大きい人だから、赤ちゃんもすっぽり納まっている。ローラン様も赤ちゃんを見て笑顔です。
まだまだ沢山の人が待っていますので、すぐにシャーリー様の元へお返ししました。もう少し抱っこをしたかったのですが、仕方ないですわ。
私たちはその場から離れ、遠くからその光景を見つめた。
「可愛かったですわね。」
「うん。とっても。思わずフレアと私の赤ちゃんを想像したよ。絶対可愛いよ!」
·····ローラン様に似たら可愛いと思いますが、私に似たら地味顔ですわ···。でも自分の赤ちゃんなら、どんな子でも可愛く感じるんでしょうね。
二人で色々な想像をしていると、赤ちゃんの抱っこが終わった人たちが、ちらほらとこちらへ向かってきている。
そしてまた、ローラン様の周りが賑やかになった。
「ローラン様、私はあちらで料理を堪能してますわ。」
私はローラン様に言って料理があるテーブルへ行った。
既に女性の方々もいらっしゃいましたが、前回と同じ人がほとんどだったので、挨拶せずそのままテーブルへ向かった。
どうせ挨拶しても無視されるのですから。
「どれ食べようかなあ」
料理を物色する。どれも美味そうで悩んでしまう。
目をキラキラさせて、次々お皿に料理をのせていく。
ドン!
危ない!
もう少しでテーブルに突っ込むとこでしたわ!
誰かに背中を押された?
振り返り確認する。
すると一人の女性がニヤニヤしながら去って行っていた。
「はあー!?」
何ー?私、やっぱり押されたの?
少し硬直してしまいましたが、気を取り直して、料理を食べた。
もちろん、背中は壁にくっつけてね!
すると女性たち数人が料理を取りきた。
そして私に聞こえる声で
「なんか、このパーティーに関係ない方がおられますわよね。」
「ほんとですわ。よく来れるものですわ。」
「迷惑ですわよねー。」
······これって私のことですよね···。
「本当ですわ。せっかくのパーティーですのに、全く関係ない方がいらっしゃると、いい気分ではありませんわ。」
·····うーん。全く関係なくはありませんが···しかも他に恋人と一緒に来てる方も、いらっしゃいますけど。
まだ、色々と聞こえるように言っている。
私は居心地が悪くて、料理を置き一度退出した。
とりあえずトイレに駆け込む。
····これって····。
前回より凄いわ···。
···いじめって云うやつかしら···
こんな反応は初めてだったので、動揺する。
「落ち着くのよ!フレア!」
自分に言い聞かせ、深呼吸をし、覚悟を決め会場へ戻ることにした。
廊下を歩いていると、前からエメルダがやってきた。
ちょっとドキッとしたけど、そのまますれ違った。
その時
ガツッ! ドサッ!
私は勢いよく転んだ。
足を引っ掻けられたのだ。
えっ?何が起こったのでしょう!?
頭が少しパニックになる。思わずエメルダを見ると
エメルダも私の方に向き
「ローランを返してくださらない?」
腕を組み、仁王立ちで言ってくる。
「ローランとは上手くいっていたのに。貴女みたいな小娘が婚約者ですって!?納得いきませんわ!どうせ、ダン宰相様にお願いしたんでしょ!」
小娘とはっきり言われましたわ。
「貴女みたいな幼女にローランを悦ばせれる訳ないわ!」
エメルダはフンと、鼻を鳴らしす。
「それに、貴女みたいな地味な人より、華やかさがある私の方が、彼の横にふさわしいと思いますわ!早く婚約を破棄して下さいませ!」
エメルダは言いたいことだけ言って、またパーティー会場へと戻って行った。
·····。
小娘とか、幼女とか地味とか色々言われてしまいましたわ···。
これでもかなり力のある公爵家の娘なんですが···
先ほどの嫌みと言い、今回のエメルダの行動といい、恋する乙女には権力とかは関係ないのですね····。
私は身の危険を感じ、帰宅することにした。
「早く、この場を離れたいですわ。」
今回のことで衝撃を受けた私は、ふらつきながら、ローラン様に帰ることを告げようと会場へ戻った。
ドアの隙間から覗くと、ローラン様の周りから「わははは」と、楽しそうな笑い声が聞こえた。それを離れたとこから、熱い視線で見ている女性たち···。
楽しそうな所に、水をさすのもいけませんので、アルフレッド夫妻に少し調子が悪くなったので、先に帰ることを告げ、その場を後にした。
ローラン様にも後で言って下さってるはずですわ。
私は帰る馬車の中で、今日の出来事を思い出し、身体が震える。可愛い赤ちゃんのことより、女性たちからの仕打ちの方が勝った。
そして···前世に戻って言うならば
女って怖えー!
暫くは、ローラン様のお友達のパーティーには、絶対に参加しないと心に堅く誓った。
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