第14話 ローラン様と(仮)婚約者になりました。
ローラン様が来られたことにより、やっと魔の下ネタ女子会トークから解放されました。御姉様方はまだ盛り上がっております····。
ローランがいる応接間に着いて、深呼吸をし、
「ごきげんよう。ローラン様」
「こんにちは。フレア、昨日は急に倒れてびっくりしたよ。大丈夫かい?ミチルダ公爵夫人には、疲れただけだからゆっくりしたら大丈夫って言われたけど。」
「はい。昨日はごめんなさい。迷惑をおかけして····。」
「いや···こちらこそ。昨日は夜会会場入った時から体調悪かったのに···あんな所でプロポーズはしてしまって。」
「····。」
「プロポーズは本当はもっと武勲を挙げてするつもりだったんだけど···ムーフォンス殿下がフレアを見る目に好意を感じてしまって。もしかしたらと思ったら、焦ってしまったよ。」
そうみたいです。花嫁候補で打診きましたわ。ローラン様には言えないけど。
私はローラン様にずっと聞きたいことを質問した。
「ローラン様は、私のどこが良かったのですか?」
そう、ローラン様は公爵家の次男とは言えかなりの優良株だわ。昨日も見て再認識しましたが、女性にも人気あるし、騎士としても19歳で一個隊を任されるほど強いし、かなりの魔力もあるらしく将来は騎士団長候補になってるそう(シャベールお兄様談)。
「君に初めて会ったとき、家の方がゴタゴタしててね。何もかも嫌になって、かなり荒れてたんだ。そんな時にシャベールが、うちの妹の一人に癒し系がいるんだけど来てみないかって誘われて」
シャベールお兄様···私の事をそんな風に思われてたんですね。
「ノーレン嬢とアンナ嬢は知ってたけどね。ノーレン嬢は特に可愛くて有名だったから。とりあえず興味本位で来てみたんだ。正直、他の三姉妹がそれぞれ可愛いし、シャベールも男としては綺麗な顔立ちだったから、君を見たときに余りにも似てないからびっくりしたよ。」
その反応分かりますわ!私の顔を見ると皆様ガッカリなさってましたから!でもローラン様はガッカリされた様子が無かったから、嬉しかった覚えがございます。
「でも確かに笑顔を見たら可愛いって思ったよ。他の兄妹にない柔らかい雰囲気がいいなって。」
ちょっと嬉しいお言葉です。
「あの日は皆と別れた後、家に帰りたくなくてこの家の庭で時間を潰してたんだ。夕日を見て『ああ、今日も終わるな』って感傷に浸ってた時に君に話かけられたんだ。びっくりしたよ。しかも『泣きそうな顔してる』って言われた時は特にね。あの時は五歳時に気を使われてちょっと自分で苦笑してしまったよ。」
やっぱりそうですよね。五歳時らしからぬ行動していまいました。
「そして頭を撫でてくれて、それが凄く安心···と言うか癒しになったっていうか。上手く表現できないんだけど。」
····なんか照れますね。
「それから気になりだして、前言った通りだよ。君が好きだと認めたら本当に愛しくて」
ローラン様は照れて頭をポリポリしてます。
「君と一緒に入れるなら何でも良かった。例え、おままごとで赤ちゃん役やろうが、馬の役やろうが。君と触れ合うことで癒されてた。」
赤ちゃん役···していただきましたね···。
ごめんなさい。嫌がらせでした。
それでも私に癒されたと言うローラン様は偉大ですわ。
ローラン様は、いきなり私の手を取り
「必ず幸せにする!16歳になったら私と結婚して欲しい!」
再度のプロポーズ。
「ローラン様、プロポーズありがとうございます。とても嬉しいですわ。ですが直ぐには返答できませんわ。」
ローランは悲しみの顔になった。
「私のことが嫌いですか?···それとも過去の私が赦せませんか?」
「いいえ。過去は過去ですわ。ローラン様はモテますもの。女性関係は仕方ありませんわ。私は···ただ一人の人になりたいんです。」
「···?」
「私のお父様もそうですが、爵位持ちは一夫多妻です。私はそれが嫌なんですの。私は愛する方、旦那様と他の方と共有することは嫌なんですの。」
私の思いをぶちまけました!
「フレア、約束する!妻は生涯、君一人だ!君しか要らない!」
「ローラン様、そのお気持ちは嬉しいですわ。ですが将来騎士団長の有望視されてる方が子男爵で終わる訳ないと思いますの。周りは私一人では不安とか、お互いに利益のある政略結婚も有り得ると思いますの。」
実際にお父様がそうなように····。
「·····」
「それに私はまだ八歳ですわ。正直もっと恋愛と云うものをしてみたいですし、私は一夫一妻の騎士の花嫁を目指してますの。」
「!!」
私の言葉にローラン様は頭を抱えた。
「フレア···私はどうしたらいい?爵位返上して、ただの騎士になったら花嫁になってくれるかい?」
いやいや!返上なんてしないで!私が周りに恨まれるますわ!
「それをしてもいいが、ダン宰相との約束が···」
ローラン様がどうしようかと唸っている。
「ローラン様、提案があります。」
ローランがカバっと顔を上げる。
「それは!?」
「仮の婚約をすることです。」
「仮の婚約?」
「はい。私もローラン様に思いもあります。ですが先程、言った通りが私の今の心情です。最初に言っておきます。これは私の我が儘です。四年間だけ猶予を下さいませ。その間にローラン様の心が移ったり、私が別に好きな人が出来たらその時点で婚約解消をする。」
「お互いに何もなかった場合は···?」
「私は正式に婚約者になり、ローラン様の花嫁になります。」
「····わかった。私が心変わりすることはないが。ならその間の夜会とかはパートナーとして一緒に出席はしてくれるのかな?」
「はい。」
「よっし!四年間は見定め期間と言うことだね。」
「そんな感じですわ。一応、仮ですが婚約者なので浮気はあまりしないで下さいね。」
浮気はするなとは言わない。言えない。こちらの我が儘を言っているし、正式な婚約ではないもの。
それに健康な男性が四年間禁欲なんて···つらいもんね。
「フレア、こちらも条件がある。」
「なんでしょう?」
「四年間後、無事に婚約したら、婚前生活を一緒にしたい。」
こっ!婚前生活!
そのままの言葉通り、結婚前に花嫁修業も兼ねて相手の家に住むこと。
こちらの我が儘が言い出しっぺだし、その頃にはもう覚悟は決まってるだろうしね。
「分かりましたわ。」
私の返答を聞き、ローラン様は満面の笑みをしました。
ドキッ!
ローラン様!その笑顔は反則ですわ!
「では、お父様とお母様にも報告と説明をしましょう。ローラン様、呼んできますのでちょっとお待ち下さいね。」
私はお父様とお母様を呼んで来るため部屋を出た。
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ふう。これで、ムーフォンス王子様やリンクス王子様に牽制になるわ。
仮だとしても一応婚約者がいる身になるし。ローラン様には悪いけど盾となっていただきますわ。ですが気持ちの半分はローラン様のことを想っています。あと半分は悪あがきですね。この四年間で騎士の方でいい人を現れることを願って···。
さてまずはお父様ですね。書斎かしら。
コンコン
······。返事がありません。書斎ではないようです。どこにいるのでしょう。
お母様にでも聞いてみましょうか···。
探し歩いていると、お母様の部屋の前で音が聞こえた。
お母様は部屋にいらっしゃるみたいね。
部屋に近づきノックをしようと思ったら
ギシッ ギシッ ギシッ
········。
この音はベッドが軋む音ですね。
どうやら真っ昼間から、愛の営みの真っ最中のようです。
今の私は、まさしく出刃亀ですわ。
昨日、散々したのでは?お母様は大丈夫でしょうか。ちょっとお母様のお身体が心配です。
真っ最中にお呼びするのは申し訳ないですが、ローラン様が待ってますし···。
お父様ごめんなさい。
思いきってノックをした。
コンコン
ギシッギシッギシッギシッギシッ!
····音が激しくなってます。ノックの音が聞こえないくらい頑張っている様子。これはかなり攻め立てていますね。
ますますお母様のお身体が心配になりました。
私は深呼吸をし
ドン!ドン!ドン!
激しくドアを叩きました!
ピタッ!
軋む音が止みました。今度は気付いてくれました。
「お母様、フレアです。いらっしゃいますか?」
「·····」
「お父様を探しているのですが、何処いるかご存じないでしょうか?」
本当は中にいるの知ってるけどね!
「私だ。何の用だ?」
「お父様!いらっしゃったのですね!実はローラン様が来られてまして、お話があるのですが応接間に来ていただきたいのですが。」
知らない振りをしてわざと聞いた。
「····そうか···わかった。」
嫌嫌そうな返事ですわ。まあ邪魔されたから当然と言えば当然ですが。
「お母様も一緒にお願いしたいのですが。」
「わかった。30分後に行く。」
えっ!30分も待つのですか?ちょっと遅いと思います。
「分かりました。ではお待ちしております。」
部屋を離れると同時に、またギシッギシッとベッドの軋む音が聞こえました。
お父様···やはり続きを···ラストスパート頑張って下さい····。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
待つことに30分。何も無かったかのようにお父様はやって来ました。 ですがお母様がいません。
「すまない。待たせたな。」
「お母様がいらっしゃいませんが?」
お父様はピクッと眉を動かし
「ミチルダは体調悪くて直ぐには来れん。もう少し後で来るだろう。」
お母様····。
仕方ないので、話しをしようと思ったらお母様がやって来ました。
「お待たせしてごめんなさいね。」
かなりお疲れておりますね。やはり朝よりもやつれてる感じがします。しかも腰を擦りながら椅子に座りました。
····無理してますね、お母様。お父様は加減と云うものを覚えて欲しいですわ。
ともあれ二人揃ったので、ローラン様と仮の婚約をしたいことの説明をした。
「うむ。ローランはそれでいいのか?」
「はい。私は心変わりは絶対にしませし、フレアの意を他に向けさせないように努力もするつもりです。」
「お互いで話し合って決めたことなら私からは言うことはない。」
「「ありがとうございます!」」
ローラン様と二人して頭を下げた。
「当初のダン宰相との約束も守るつもりです。」
「そうか····。だが、まさかフレアが多妻が嫌とは思わなかった。我が家は公爵だからまずは王族に嫁ぐこと以外はほぼ正妻の所へ嫁ぐようになるのだぞ?」
「はい。私はそれでも嫌なのです。一人の男性を他の方と共有するのは。」
「意思は堅いな。ローランも気が抜くことなく、フレアを見ておくことだな。」
「はい!」
お母様は黙って聞いて「自分達で決めたことなら言うことないわ」と言ってくれました。
数日後の王家主催の夜会で私たちの(仮)婚約が発表された。ご令嬢達の悲鳴が上がったのは言うまでもない。
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