ホラー。どうやら開けてはいけないらしい、正体不明の真っ白い箱のお話。
勝手に取り付けられた約束の身勝手さと、一方的に与えられる愛の傲慢さ。そんなもののせいで破滅させられることの、このなんとも言えない不条理感。腑に落ちないような、納得のいかないような、その収まりの悪さに含まれる不気味な恐怖。
不可思議なフィクションを書いているようでいて、でもここに書かれている恐怖の質は、きっと現実のそれに近いのではないか、なんてことを思いました。
この後味の悪さ、どうやっても割り切れない読後感が好きです。作品から浴びせられた黒くて重たい何かが、ずっと胃の中でもたれる感じ。
白い箱。自分ならすぐ開けてしまいそうな気がします。