ゴー・アヘッド・プリーズ-テイク・デイ・オフ!【その2】
---録音再開---
ある日、他国の支部から一人の男が赴任してきました。
名前はえーっと・・・タケモリ、いや、タカモリだったかな。
日本人の名前は難しいです。
私は彼の案内役となりました。案内役と言っても大したことはしません。
トイレはここですとか、あなたのデスクはここですとか、何時に出社して何時に退社しますとか。そのようなことを説明するだけです。
タケモリ・・・いや、タカモリ?
タケモリにしましょう。タケモリは私が思う日本人とは違い、おしゃべりな男でした。説明をする私に様々な質問をぶつけてきます。
といっても、彼のする質問は仕事とは関係のない、"ブラッドレーの思っている日本人像"という質問が殆どでした。
"日本という国にどういうイメージを持っているのか?"とか、
"生魚を食べる文化をどう思うのか?"とか、
"日本が行う捕鯨についてどう思うのか?"とか。
私にとってそれらの質問は、全て、"どうでもいい"ことでした。
ですが彼は次々とそういうことを私に質問していくのです。
私は正直うんざりしていました。友人のエドワードから聞いた通り、"日本人は自国について聞くことが大好き"なのだな、と適当に相槌しながら思っていました。
タケモリは尽きることなくこういう質問をしました。
"日本人のここが変!っていうところはどこか?"
私はこう返しました。
"そうやって他の国にどう思われてるのか聞きまくることだ!"ってね。
ええ、あなたの国ではこう言うんですよね?"カンニンブクロノ、オガキレル"って。ええ。これも後にエドワードから聞きました。
彼の口はようやく閉じ、オフィスの廊下には私と彼の足音だけが聞こえるようになりました。
それから数日後の土曜日、私のデスクにタケモリがやってきて、こう言いました。
"この前は機嫌を損ねてしまい、申し訳なかった。日本では人に謝るときに酒やご飯を奢るんだ。今夜一緒にご飯を食べないか?"と。
まあ、私もタケモリにそれ以外の不満は持っていませんでしたし、無料で晩御飯を食べられるのならと思い、快諾しました。
それから仕事を終えた私とタケモリはパブに向かいました。ビールを飲み、ポテトやピザを食べました。
彼曰く、早く職場に馴染みたいからあんな無礼をしてしまった、とのことでした。まあ、質問攻めをしない彼の話は興味深いものが多かったですし、ジョークも上手でした。
2時間程度でしたが、楽しいディナータイムを満喫しました。
午後10時ごろ、私たちはパブを出ました。ええ、ちょっとフラフラとしてましたがその時腕時計を見ていましたので覚えています。
タケモリとはすっかり打ち解けまして、私は彼に別のパブに行こうかと提案しました。
彼は真っ赤になった顔をこちらに向けて、こう言いました。
"俺の嫁とセックスをしないか"って。
---録音一時停止---
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