新しい天使

へり

歩いているうちに都市はだんだんその背丈を低くしていった。巨大な摩天楼、建ち並ぶ古びた団地、ケーキのように叙情された住宅たち、セイタカアワダチソウ。僕を拒絶する意味合いがだんだんと消え失せていき、緩やかに、しかし確実に僕は一人になっていく。


あとは全部なくなった山だけが続く。砂一面に少しずつ足が沈んでいく。僕は寂しさに呑み込まれないため足早に前へ向かう。


世界のへりには優しさだけが残っているらしい。あの子の名前ももう忘れてしまったな。僕は独りごちて歩を進める。光ってればよかったのに。

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