夕立

 裏庭の夕景がひさびさに立っていた。僕の住む丘町には例のごとくのっぺらぼうが軒を連ねているが、何百メートルか先に見える、ピンセットで摘んで置かれたように整然と叙情されたちいさなちいさな大通りは、まるで、あらかじめ設えられた運命が世界の終わりを暗示しているかのようだ。ふざけた炎色の空から降ってくる滴が夏の夢をバラバラ壊している光景はまた耽美的で、一切の色づきに欠けた周辺の住宅街も、ダリとかデ・キリコにありがちの、原色に風情を塗りつぶされた絵みたいな倒錯感すら醸し出している。

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