Mission055: 開発
ゼルゲイド達がバーで話をしている頃。
Mは艦長室で、電話端末を手にしながら、何者かと話をしていた。
「私だ。そちらは順調か?」
「はい。あの襲撃以降は何もなく、開発が進んでおります。実戦配備まではもう少しかと」
返ってきたのは、女性の声である。その内容に満足した様子を示すMは、さらに話を続けた。
「そうか。完成の折には、まず我々の部隊に組み込んで使いたいものだ」
「光栄でございます。無論、ゲルゼリアに優先配備する予定です。しかし……」
「
「はい。パイロットの選抜です」
女性の一言を聞いたMが、表情から笑みを消す。
「確かにそれは、重大だな。当てはあるはずだが……」
「ええ。陛下より、ある精鋭部隊の人員を供与していただける予定です。ですが、精鋭部隊といえど、第5世代機に乗った経験は皆無」
「機種転換訓練が必要ということか」
「はっ。その通りでございます」
それを聞いたMは、さらに表情を渋くする。
「難しい問題だ。ただでさえサロメルデ王国は、人的資源においても危機的状況にある。余裕が無いのは知っているが……いや、だとしても、共に戦ってもらわねば困る。全ての王国兵が新型機の扱いに適応し、ベルゼード帝国を押し返す……それが我々の目的だ」
「はい。そして、私の……貴方の故郷を取り返し、再びあるべき姿にする。その為にも、尽力させていただきます」
「ああ。頼むぞ、マルスリーヌ」
「もちろんです。M様」
Mは頷くと、「頼むぞ」と一言告げた。
「さて、他に聞きたいことがある」
「何なりと」
「まだ終わっていない事柄に関してだ。人員の問題はいったんさておいて、機体の話をしたい」
「かしこまりました。”アルジェンティス”の開発計画において未完成なのは、人員、並びに新装備です。この内、人員は先ほど述べた通り」
マルスリーヌと呼ばれた女性は、落ち着いて現状をMに報告する。
「ふむ。となると、新装備にも問題がありそうだな」
「はい。特に問題があるのは、防御システムの2つです。クライン・コートと、そして空間歪曲システム」
「ふむ。私は専門外ゆえ詳細は分からぬが、今までに無い装備。安定化には時間もかかろうな」
「まさしく。ですが、一刻も早く完成させましょう。今はかりそめの平穏を保っておりますが、いつメイディア周辺が戦争状態となってもおかしくはありませんので」
「ああ。それよりも先に完成させてほしい。実弾とビーム砲への対策による、
「私も、失礼いたします。それでは」
Mとマルスリーヌは、同時に通話を終える。
端末をしまいながら、Mはうっすらと笑った。
「反撃の時は近づきつつある。それまでは、我々が出来る限りの時間を稼ごうではないか。フフフ……」
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