Mission044: 防衛
一方その頃。
ゲルゼリアの近くまで到着したパトリック達は、飛来するミサイルを片っ端から叩き落していた。
「かなりの数だな……! 俺たちだけでさばききれるか……!?」
「そりゃ無理だろプロメテウス1! 撃ち漏らした分はゲルゼリアに始末させようぜ!」
「副隊長の言う通り。ゲルゼリアの弾幕ならば、しばらくは大丈夫だろう」
「けど、それにも限界はありますからね! そうならないよう、僕たちが行くんですよ!」
ミサイルはゲルゼリアまでの距離をある程度詰めると、増設ブースターを切り離してさらに速度を高める特性がある。
パトリック達は増設ブースターが分離する前に、ミサイルを撃墜し続けていた。
「ッ、やべっ!」
と、デュランがミサイルを1発逃してしまう。ブースターを切り離し、さらなら加速を経てゲルゼリアへと突っ込んで行った。
「構うな、プロメテウス2! あれだけならゲルゼリアは沈まない!」
パトリックが叱咤し、意識をミサイルの大群に集中させる。
すり抜けたミサイルはあっさりと、
「しかしまだまだ来るな。
パトリックが見た通り、明らかに並の艦船に向ける数ではないミサイルが飛来し続けていた。
プロメテウス隊の奮戦やゲルゼリアの防御能力で一発たりとも被弾していない状態ではあるが、まだ終わりは見えていない。
「
「それだ、プロメテウス1! M、敵艦船の反応ねぇか調べてくれ!」
デュランが叫ぶと同時に、Mはレーダー手に反応を確かめさせていた。
先程、バルゼネーレの位置を探知するために最大出力にしていたのが功を奏し、レーダースクリーンの端に、いくつもの強力な反応を発見する。
「いました! 方位030に反応13……大艦隊です!」
「デュラン、君の読み通りだ。今見えているであろう敵
それを聞いたデュランは、舌打ちした。
「案の定かよ! おっと、そろそろミサイルが終わりそうだな!?」
「あと少しだ。まずは最後まで叩き落すぞ、プロメテウス2!」
「はいよ!」
さらなる脅威を前に歯噛みしつつも、パトリック達は眼前のミサイルを叩き落す。
弾倉交換の隙を突かれて何発か逃すも、ゲルゼリアが問題無く処理した。
「これで最後……!」
ラファエルが、最後の一発を撃ち落とす。
第一波と言えるミサイル攻撃をしのぎ切ったプロメテウス隊は、ゲルゼリアの側面に警戒態勢で飛行していた。
「しのいだか……。そうだ、ゼルゲイド君は!?」
『彼なら、そう簡単には墜ちないだろう。各機、一度帰投し補給せよ』
「くっ……頼むから無事でいてくれよ!」
プロメテウス隊は一時的に、ゲルゼリア内部へと帰投した。
格納庫に素早く、自身の機体を収める。
「補給急げ! まだゼルゲイド君が戦っているんだ、見殺しにはしたくない!」
*
「その、声は……!」
ゼールドは、アドレーネの声を聞いて驚愕していた。
「どうして……どうして貴女が、その"黒騎士”と共にいらっしゃるのですか!?」
「これが私の選択です。私はベルゼード帝国と戦い、故国再興の望みを叶えます」
「私には、いまだに信じられません。貴女が、我々の元を離れるなど……」
「残された道は、離れることだけだったのです」
「貴女がたは、裏切り者だ」
ゼールドの声が低くなる。
「我々を半端に導いて、いざとなったら自分たちだけ逃げて……それはいささか、自分勝手が過ぎるというものではありませんか!」
「ファルゼインの暴虐に耐えきれなかったことは、謝りましょう」
アドレーネは、ゼールドに謝罪の意思を示す。
「ですが、貴方は……ファルゼインの
だがその直後、ゼールドに疑念を真正面からぶつけたのであった。
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