Mission017: 反撃

 発艦に成功したゼルゲイドは、すぐさま通信を繋ぐ。


「こちらエクスカリバー。発艦に成功した」

「こちらプロメテウス1。まずは初めてのゲルゼリアからの単独発艦成功、おめでとう。そろそろ艦長や副長から命令が来るはずだ。プロメテウス1より各機、フォーメーションを組んで待機」

「プロメテウス2了解」

「3了解」

「4了解!」


 ゲルゼリア周辺の警戒を続けるゼルゲイド達の耳に、無線が入る。


「副艦長のエーレンフリート・アイヒホルンだ。各機、本艦周辺のAdvancerアドヴァンサーを排除せよ。ただし深追いするな、撤退に追い込めば十分だ」

「「了解!」」


 命令を聞いたゼルゲイド達は散開し、迎撃を開始した。




「今回も敵はリクシアスか。けど、今までのとは色が違う。何か特殊な装備なのか?」

「私がお答えしますわ、ゼルゲイド様」

「アドレーネ様? ご存知なのですか?」


 ゼルゲイドの問いに対し、アドレーネは強く頷く。


「はい。ゼルゲイド様、黒と青のリクシアスが見えますわね?」

「もちろんです……おっと!」


 やはりというべきか、弾丸が正面から飛来してくる。

 ゼルゲイドは難なく回避すると、お返しに右前腕部のビーム砲を見舞った。黒のリクシアスのうち1機が、胸部に大穴を空けて墜落する。


「今撃墜した黒のリクシアス。正面戦闘では、今までのリクシアスと大差はありませんわ」

「それ以外では?」

「強敵とは申しませんが、厄介では……ゼルゲイド様、後ろを!」


 アドレーネの警告を聞き、ゼルゲイドは反射で機体に背後を向かせる。

 そこには、ナイフを構えた黒のリクシアスが、今まさに刃を突き立てんとしていた。


「回避行動!」


 ゼルゲイドの操作で、シュヴァルリト・グランが素早く右脚を振り上げる。突進してくるリクシアスの脇腹に命中し、刃がれた。


「終わりだ」


 シュヴァルリト・グランはすぐさま大剣を抜いて構え、今しがた過ぎ去ったリクシアスに追いつく。

 距離を詰めきると同時に振られた大剣が、リクシアスを袈裟けさ斬りにした。十分な推力を得られない機体が、墜落していく。


「何とかなったか……アドレーネ様がいなければ危なかった」

「そういうことですわ、ゼルゲイド様。高いステルス性を有するのが、黒のリクシアスの特徴なのです」

「レーダーと意識の隙に潜り込むとは……側面と背面の警戒はお願いします。ところで、青いリクシアスはどのような特徴を?」

「ゲルゼリアを見てくださいませ」


 次々と迫る黒のリクシアスを叩き落としながら、ゼルゲイドはゲルゼリアの様子を窺う。

 ゲルゼリアは、ビームやバズーカ砲による集中攻撃を受けていた。


「援護に向かいますか……?」

「焦る必要はありません。あの程度では、ゲルゼリアは沈まないでしょう。それに、プロメテウス隊の皆様もいらっしゃいます。ですが、あれこそが青いリクシアスの戦い方。集団で艦を強襲し、轟沈に至らしめるのです」

「艦にとっては天敵というわけですね。ともあれ、今は黒のリクシアスを何とかしなくては……!」


 ゼルゲイドは目に付いた黒いリクシアスを、片っ端から撃墜していく。

 プロメテウス隊も同様に2機一組の分隊を維持したまま、連携を発揮してリクシアスの数を着実に減らしていった。


(やけに簡単な戦いだな……? 敵艦も砲撃してこない。だからといってただ突っ込むのは無策が過ぎるが……ん?)

「ゼルゲイド様、急速接近する敵機がいますわ!」

「アドレーネ様。何となくですが、それが誰だか予想が付きます」


 ゼルゲイドは確信を持って、迫る敵機を見据えていた。

 それだけではなく、シュヴァルリト・グランに、左肩に搭載したビーム砲を取り出して構えさせていた。


 と、接近している敵機から通信が繋がる。


「やはり現れたか、ゼルゲイド・アルシアス」

「エルン中佐……!」

「いざ尋常に勝負! 各機、邪魔立てしないでもらおう!」


 エルンの命令により、敵のリクシアス達がシュヴァルリト・グランとエルレネイアから距離を取り始める。


「これで準備は良し。さあ、覚悟!」




 そしてエルレネイアは素早く2振りのビームソードを取り出して構え、シュヴァルリト・グラン目掛けて突撃してきた……。

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