第17話 耀ちゃんは私と付き合うよね?

「る、瑠璃ちゃん……確かにそうなると思うけど、一応奥田君にも選択肢を与えてあげないと……」


 愛菜は、僕に同情的に言ってくれる。言ってくれるけど、もはや放心状態の僕は、開いた口を開けたまま、ただ光輝く笑顔の瑠璃花を、見つめる事しかできはしない。


「………じゃあ?耀ちゃんは私と付き合うよね?」


 瑠璃花の笑顔が一段と輝いて綺麗で、そしてもの凄く惹き込まれる様で……僕は思わず頷いて


「うん」


 と言っていた。

 まるで何かに操られている感は半端なくて、それが何なのかちょっと解らなくもない。


「はぁ?マジかぁ……」


 佑君は、ムッとした様に僕を睨みつける。


「………って事は、瑠璃色の瑠璃花さんは、奥田と付き合うんだから、君、君が付け入る隙はない!ここはアッサリキッパリ諦めな」


 阿部が太い眉を大きく動かして、何故かドヤ顔を作って言った。


「はっ?何で俺が?」


「何でって、は、瑠璃色の瑠璃花さんが好きなんだろう?」


「それは中学生の時の事。第一俺彼女いるし」


 佑君が、阿部を一瞥して言う。


「えっ?塾で告られた女子と付き合ったの?」


 瑠璃花が佑君に聞いた。

 もの凄くお互いを知ってる感を、醸し出しているんですけど………。


「いやいや、高校に入ってから?まぁ……告られて?瑠璃ちゃんにゃ負けるけど、かなり可愛い女子だから………」


 佑君は腹が立つほど、爽やかな笑みを浮かべて瑠璃花を見つめて言った。




 瑠璃花・瑠璃花・瑠璃花・・・・・




「……そうか……瑠璃ちゃんは、弟のこうちゃんの方が可愛いのか?」


 先生は僕を見て


「………弟ちゃんには敵わないわね?」


 と笑顔を向ける。


「……少し弟ちゃんに、気持ちが行ってくれた方が……」


 するとお部屋の先生が言った。


「瑠璃ちゃん、耀ちゃんを年下に見ているのか?世話をやくから、耀ちゃんが煩がって……」


「えっ?この間まで、佑ちゃんと三角関係じゃなかった?」


「そうなんだけど……どうも佑ちゃんにはしないのに、耀ちゃんは世話をやく?というか、言う事をきかせ様とするというか……」


「確かに月齢差ってあるからねぇ……だから瑠璃ちゃん、耀ちゃん可愛くて仕方がないんだ?」


「……だと思うんですよ?特に瑠璃ちゃんは、面倒見たがりさんだから……」


「うわぁ?……弟ちゃん……大丈夫かな?」


「……それそれ、ママも心配してた」



 だけどそんな先生の心配を余所に、瑠璃花の僕への煩い程の接し方は変わらず、そして弟のこうちゃんに対する、世話やきなお手数問題は、瑠璃花のママから先生達の耳に入る事となったのだった。





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